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大学受験の夏期講習で取るべき講座は?決める順番と講座数・レベルの目安
「夏期講習のカタログを開いたものの、どの講座を取ればいいのか決められない」——受験生と保護者の多くが、夏を前に同じ悩みにぶつかります。案内には魅力的な講座がずらりと並び、あれもこれも必要に見えてしまうものです。
けれど、講座を取ること自体が目的になってしまうと、かえって夏の伸びを取りこぼしかねません。この記事では、取るべき講座を決める順番(志望校の配点→苦手→得意の伸ばしどころ)、復習時間から逆算する講座数の目安、模試の偏差値とテキストで考えるレベル選び、そして学年ごとの違いや、あえて講座を取らない選択肢までを整理します。読み終えるころには、自分にとって「取るべき講座」と「独学で足りる範囲」の線引きができるはずです。
「全部取る」がいちばん危ない理由
夏期講習でありがちな失敗が、不安に押されて講座を詰め込みすぎることです。講座は受けている時間だけでなく、その内容を自分のものにする復習の時間があって初めて力になります。
たとえば河合塾の夏期講習は、1講座あたり90分×5講完結が基本と案内されています。1講座を取るだけで、授業だけでまとまった時間を使う計算です。一日を講座で埋めてしまうと、復習・演習・暗記に回す時間が消え、「受けただけ」で終わりがちです。まずは「講座は必要な科目にしぼり、余白を自習に残す」という前提を持っておきましょう。
取る講座を決める順番(志望校の配点→苦手→得意の伸ばしどころ)
どの講座を取るかは、思いついた順ではなく、次の順番で考えると迷いにくくなります。
ステップ1:志望校の配点を確認する
最初に見るのは、志望校(第一志望と主な併願校)の入試科目と配点です。国公立大なら共通テストと個別試験の両方、私立大なら一般選抜の方式ごとに、どの科目がどれだけの比重を占めるかを書き出します。英語や数学は配点が高い大学が多く、優先度が上がりやすい科目です。配点の小さい科目や受験しない科目の講座は、この時点で候補から外します。
配点から科目ごとの勉強時間を割り振る考え方は、大学受験の夏休みの勉強計画で詳しく整理しています。
ステップ2:配点の大きい科目のうち、苦手なものを先に埋める
次に、配点の大きい科目の中で、模試や定期テストの得点率が低いものを選びます。得意科目をさらに上乗せするより、足を引っ張っている科目を平均まで引き上げるほうが、合計点の伸びは大きくなりやすいです。
ただし、苦手の原因が「基礎の抜け」なのか「解き方の型が無い」のかで、選ぶ講座は変わります。基礎の抜けなら基礎〜標準レベルの講座や参考書でのやり直し、解き方の型が無いなら講師の解説を聞ける講座の価値が高くなります。苦手の原因の見極め方と戻る地点の決め方は、大学受験の苦手科目の克服方法にまとめています。
ステップ3:得意科目は「伸ばしどころ」だけ講座にする
得意科目は、すでに独学で回せていることが多い科目です。講座を取るなら、記述答案の書き方や志望大学の出題傾向など、自分では点検しにくい部分に限ると無駄がありません。
迷ったときの基準:独学しにくいかどうか
同じくらいの優先度で迷ったら、解説を読んでも腑に落ちない、質問したい場面が多い分野を講座に回します。暗記中心で自分のペースで進められる分野は、独学で十分なことも多いです。
講座の種類を先に知っておく
講座の名前は予備校ごとに違いますが、大きく分けると次のような種類があります。河合塾の案内では、次の4種類に医学部向けの講座を加えた構成になっています。
| 講座の種類 | 扱う内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| レベル別講座 | 科目ごとの学力段階に合わせた授業 | 科目の実力そのものを底上げしたい |
| 大学別対策講座 | 特定の大学の出題傾向に沿った対策 | 志望校がほぼ決まっている |
| 共通テスト対策講座 | 共通テストの出題形式に沿った演習 | 国公立大志望、共通テスト利用を考えている |
| テーマ別講座 | 特定の分野・単元に絞った授業 | 苦手分野や強化したい分野がはっきりしている |
ステップ2で見つけた苦手が特定の単元なら、科目全体を扱うレベル別講座よりテーマ別講座のほうが、時間あたりの効果を得やすくなります。逆に、科目全体が手薄ならレベル別講座で全体を通して確認するほうが向いています。
講座数の目安は復習時間から逆算する
講座数に決まった正解はありません。河合塾は高3生・高卒生向けに、志望大学の入試レベルを把握し実力をつけるために8〜10講座の受講をすすめています。一方で、この数が自分に合うかどうかは、復習の時間が確保できるかで決まります。
1講座を90分×5講とすると、授業時間は1講座あたり7.5時間です。授業と同じだけの時間を復習と演習に充てると仮定すると、講座数ごとの必要時間は次のようになります。
| 講座数(講座) | 授業時間の合計(時間) | 復習を同じだけ取った合計(時間) |
|---|---|---|
| 4 | 30 | 60 |
| 6 | 45 | 90 |
| 8 | 60 | 120 |
| 10 | 75 | 150 |
ここに、講座と関係のない自習(単語・過去問・学校の課題)の時間が加わります。夏休みの中で学習に使える日数と一日の学習時間を掛け合わせ、この表の右端の列を引いても自習の時間が残るかどうかを確認してください。残らないなら、講座数を減らすか、配点の小さい科目の講座から外していきます。
授業のある日は移動時間も含めて一日の予定が固まるので、講座の日程は先に書き込み、そのすき間に復習を置いていく順番で考えると無理が見えやすくなります。
レベル選びの判断(テキストの試し読み・模試の偏差値)
講座の多くはレベル別に分かれています。河合塾の夏期講習では、次の3つのレベルと受講の目安偏差値が示されています。
| レベル | 受講の目安偏差値 | 目標大学の例 |
|---|---|---|
| 特別選抜 | 65.0以上 | 東大・京大・医学部医学科 |
| 難関 | 55.0以上 | 難関国公立大・早慶大 |
| 標準 | 54.9以下 | 国公立大・私立大 |
偏差値はあくまで目安です。レベルを決めるときは、次の順で考えると外しにくくなります。
- 直近の模試の偏差値を科目ごとに見る——総合の偏差値ではなく、講座を取る科目の偏差値で判断します。1回だけの結果より、直近の2回ほどを並べたほうがぶれを避けられます。
- テキストや講座の内容紹介を読む——扱う問題のレベルや範囲は講座の紹介文や案内書に書かれています。「解説を聞けば分かりそう」な問題が中心なら合っており、問題文の意味から分からないものが多いならレベルが高すぎるサインです。
- 分野ごとにレベルを変えてもよい——四谷学院は、英文法はハイレベル、長文読解は標準レベルといったように、分野ごとにレベルを変えて受講できると案内しています。一つの科目の中でも得意・苦手が分かれるなら、分野単位で選ぶ発想が使えます。
迷ったときは、苦手科目は一段下、得意科目は一段上を選ぶのが一つの考え方です。苦手科目で背伸びをすると、授業の内容を復習で再現できず、講座の時間がそのまま抜け落ちてしまいます。
科目別・夏に優先したい講座と独学の組み合わせ
ここからは科目ごとに、夏に固めておきたいポイントと、講座に上乗せしたい独学の教材を紹介します。教材は自習の相棒として、講座の復習や隙間時間に活用しやすいものを選びました。
英語:語彙と文法を夏のうちに固める
英語は配点が高く、秋以降の長文読解や英作文の土台になる科目です。夏のあいだに単語と文法という基礎を固めておくと、秋からの伸びが安定します。ここは講座で読解の型を学びつつ、語彙と文法は独学でコツコツ積み上げるのが効率的です。夏に覚える単語数の目安は、大学受験の夏休み、英単語は何語覚える?で志望校別に整理しています。
単語は、入試頻出語を効率よく回せる定番の一冊を軸にすると迷いません。次の単語帳は多くの受験生に使われてきたロングセラーで、レビュー評価も高めです。
文法に不安が残る場合は、講座と並行して超基礎レベルからやり直せる参考書を一冊持っておくと安心です。わかったつもりの穴を夏のうちにふさいでおきましょう。
現代文:解き方を型で身につける
現代文はなんとなくで解いていると点数が安定しません。夏は、本文の読み方と設問へのアプローチを型として身につける絶好の時期です。講座で解法の考え方を教わったら、独学では同じ型を使って演習量を積むと定着します。
基礎から解き方を確認できる問題集を一冊やり込むと、秋以降の応用にもつながります。
社会:通史を一気に流す
世界史や日本史などの社会科は、細切れに進めるより、夏にまとまった時間で通史を一気に流すほうが流れがつかめます。用語の暗記は自分のペースで進めやすいため、独学と相性のよい科目です。
通史の全体像をつかむ導入には、読み物として流れを理解しやすい教材が役立ちます。細かい暗記に入る前に、まず大きな筋を頭に入れておきましょう。
数学・理科:講座で解法の引き出しを増やす
数学や理科は、独学だと解法の発想でつまずきやすい科目です。質問できる環境の価値が高いので、講座に回す優先度が上がります。講座で扱った問題は、その日のうちに自力で解き直し、解法を自分の引き出しにしていきましょう。
高1・高2・高3・既卒で違う取り方
同じ夏期講習でも、学年によって講座に求める役割が変わります。
- 高1——受験の土台をつくる時期です。河合塾は高1生に向けて、英語・数学・国語の主要科目を夏にまとめて強化することをすすめています。講座は主要科目にしぼり、残りの時間で学校の復習を固めるのが基本です。
- 高2——受験科目を意識し始める時期です。河合塾は高2生に向けて、英語・数学・国語は必ず受講し、志望大学の系統に合わせて理科・歴史や共通テスト対策の講座を追加することもすすめています。文理選択が固まっていれば、その科目を一つ加える程度が目安です。
- 高3——志望大学の入試に必要な科目をベースに講座を組みます。国公立大志望なら、大学別講座やレベル別講座に加えて共通テスト対策講座も検討します。令和9年度の共通テスト本試験は令和9年1月16日・17日の実施と公表されており、夏は共通テストまでの残り期間を意識して優先順位を決める時期です。
- 既卒(高卒生)——予備校の年間授業を受けている場合、夏期講習は年間授業と内容が重なりやすくなります。年間授業で手薄な科目や、志望大学別の対策に講座をしぼり、重複を避けます。
講座を取らない選択肢(自習・過去問)
夏期講習は、全員が取らなければならないものではありません。次のような場合は、講座を減らすか取らずに、自習や過去問演習に時間を回す選択肢もあります。
- やるべき参考書・問題集がすでに決まっていて、進み具合も順調——講座で新しい教材を増やすより、今の教材を一冊やり切るほうが力になりやすいです。
- 苦手の原因が暗記不足——単語・用語・公式の抜けが原因なら、講座を聞くより自分で覚える時間が必要です。
- 志望校の過去問にまだ手をつけていない高3・既卒——一度は時間を計って解き、出題形式と自分の距離を知っておくと、秋以降の講座選びの材料になります。
- 学校の補習や課題で予定がほぼ埋まっている——講座を足すと復習が回らなくなります。
一方で、独学を続けているのに模試の成績が動かない場合は、勉強のやり方そのものに詰まりがあるかもしれません。その見つけ方と立て直し方は、大学受験の独学で成績が伸びない原因で整理しています。詰まりが特定の科目・分野に集中しているなら、その部分だけ講座に回すのが効率的です。
受講後の復習の組み立て
講座の価値を決めるのは、受けた後の復習です。講座と独学は、どちらか一方ではなく組み合わせて設計します。目安として、講座で新しい内容をインプットしたら、同じかそれ以上の時間を復習・演習に充てるイメージです。
- 当日——その日の授業で扱った問題を、解説を見ずに解き直します。解けなかった問題には印をつけておきます。
- 翌日〜数日以内——印をつけた問題だけをもう一度解きます。ここで解ければ、その問題は一区切りです。
- 講座が終わった週末——5講分のテキストを通して見直し、まだ解けない問題を一覧にします。この一覧が、夏の後半の自習メニューになります。
一日の流れとしては、午前は講座、午後は午前の復習と単語・文法の独学、夜は演習、といったように受ける時間と自分で手を動かす時間を交互に置くと、知識が定着しやすくなります。無理のない範囲で、続けられる配分を最優先にしてください。
筆者の判断基準
この記事の内容は、次の基準で組み立てています。
- 講座数は復習が回るかで決める——予備校の目安は参考にしつつ、上限は自分の復習時間から逆算します。
- 配点→苦手→得意の順を崩さない——講座の魅力的な紹介文より、志望校の配点と自分の得点率を先に見ます。
- レベルは科目ごと、ときには分野ごとに決める——総合の偏差値一つで全科目のレベルをそろえません。
- 講座を取らない選択肢も同じ重さで検討する——自習や過去問の時間が足りなくなるなら、講座を減らす判断を優先します。
- 日程や講座の構成は必ず公式の案内で確認する——講座の形式や設置期間、申込期間は年度や予備校ごとに変わります。
よくある質問
夏期講習はいくつくらい取るのが適切ですか?
決まった正解はありません。河合塾は高3生・高卒生に8〜10講座をすすめていますが、自分の夏休みで復習の時間まで確保できるかを、講座数の表で確かめてから決めるのが基本です。数を増やすより、一つひとつを消化しきることを優先しましょう。
独学だけで夏を乗り切ることはできますか?
自己管理ができ、苦手科目が少ない人なら、独学中心でも進められます。ただし、解説を読んでも理解しにくい分野は講座を使ったほうが時間を節約できます。全科目を独学にこだわる必要はありません。
講座を取ったのに復習が追いつきません。
講座を取りすぎているサインかもしれません。申込み前なら受講数を見直し、受講中なら当日の解き直しを最優先にして、講座全体の見直しは講座が終わった後にまとめて行います。参考書は自分のペースで進められるので、講座で消化しきれない部分を独学で補うのも一つの手です。
参照した公式情報(取得日)
- 河合塾 夏期講習(高校生・高卒生)(取得日 2026-09-29)
- 河合塾 高3生・高卒生 夏にやるべき入試対策(取得日 2026-09-29)
- 河合塾 高1生・高2生 夏休みに取り組む入試対策(取得日 2026-09-29)
- 四谷学院 夏期講習 高3生・高卒生(取得日 2026-09-29)
- 大学入試センター 令和9年度試験(取得日 2026-09-29)
講座の形式・設置期間・申込期間は年度や予備校ごとに変わります。受講する年度の各予備校の案内で必ず確認してください。
まとめ
夏期講習で取るべき講座は、志望校の配点を確認し、配点の大きい苦手科目を先に埋め、得意科目は伸ばしどころだけ講座にする、という順番で決めると迷いにくくなります。講座数は復習の時間から逆算し、レベルは科目ごとの模試の偏差値と講座の内容紹介で判断します。
すべてを講座で埋めるのではなく、講座と独学を組み合わせ、復習の時間を残すことが夏の伸びを左右します。英語の語彙固めのように独学でコツコツ積み上げられる部分は、講座の隙間時間を使って自分で進めておきましょう。
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