大学受験の苦手科目の克服方法|原因の見極めと戻る地点の決め方

20260720_大学受験_苦手科目の克服方法 大学受験

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得意科目は進むのに、苦手科目だけは何をやっても伸びない。見るのも嫌で、つい後回しにしてしまう——。大学受験では、苦手科目に足を引っ張られている人が少なくありません。総合点で合否が決まる以上、苦手科目をどう扱うかは得意科目を伸ばすことと同じくらい大切です。

苦手科目が克服できない原因は、才能やセンスではなく、多くの場合どこかに積み残しがあり、それを放置したまま先に進んでいることにあります。この記事では、苦手の原因を3つに分けて見極める方法、共通テストの配点をもとに苦手を分野単位で測る考え方、どこまで戻るかの判断、伸びを確かめる記録の付け方、そして捨てるか克服するかの線引きまでを、順番に整理します。

独学全般が停滞している場合は、大学受験の独学で成績が伸びない原因もあわせて読んでみてください。この記事は、特定の科目が足を引っ張っているときの対処に絞っています。

苦手は「才能」でなく「積み残し」

「数学のセンスがない」「英語は昔から苦手」と思い込んでいる人ほど、実際は基礎のどこかでつまずき、そこから上に積み上がらなくなっているだけのことが多いものです。

積み木と同じで、下の段が抜けていると、その上には積めません。苦手科目は、抜けている段を見つけて埋め直すことで前に進めるようになります。そのためには、まず何が原因で点が取れていないのかを分けて考える必要があります。

苦手の原因を3つに分ける|基礎の抜け・解き方・時間配分

同じ苦手でも、原因によって打ち手はまったく変わります。模試や問題集で間違えた問題を、次の3つのどれに当たるかで分類してみてください。

原因 見分けるサイン 最初の打ち手
基礎の抜け 解説を読んでも、使われている用語や公式の意味が分からない 分からなくなった地点まで戻って学び直す
解き方が身についていない 解説を読めば分かるが、何も見ずに解き直すと手が止まる 同じ問題を解説なしで解き直し、手順を再現できるまで繰り返す
時間配分 時間を気にせず解けば正解できるが、制限時間内では終わらない 大問ごとの目安時間を決め、時間を計って解く

基礎の抜けが原因なのに演習量を増やしても、分からない問題を眺める時間が増えるだけです。反対に、解説を読めば理解できる人がいつまでも教科書を読み直していても、得点にはつながりにくくなります。間違えた問題1問ごとに、この3つのどれかを書き添えるだけで、自分の苦手がどこから来ているのかが見えてきます。

なお、見るのも嫌という嫌悪感は、この3つのどれかが積み重なった結果として生まれていることがほとんどです。気持ちの問題として片づけず、まずは原因の分類から始めてください。

苦手は科目でなく分野で測る

数学が苦手と一口に言っても、全範囲ができないわけではありません。共通テストは、出題の範囲や配点が大問・項目単位で決まっています。大学入試センターが公表している令和9年度の出題方法等から、苦手の単位を考えるうえで役に立つ部分を抜き出すと、次のとおりです。

科目 試験時間(分) 配点(点) 内訳・選択のしかた
国語 90 200 近代以降の文章が3問で110点、古典が2問で90点(古文・漢文は各45点)
数学Ⅰ,数学A 70 100 数学Aは図形の性質、場合の数と確率の2項目に対応した出題で、すべて解答
数学Ⅱ,数学B,数学C 70 100 数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面の4項目から3項目を選んで解答
英語 リーディング 80 100 リスニングとは別の時間枠
英語 リスニング 60 100 解答時間は30分

たとえば国語が苦手な人でも、古典が原因なのか現代文が原因なのかで、やるべきことは大きく変わります。古典は配点の上でも一つのまとまりになっているため、古文単語や文法の抜けを埋める作業は、点数への効き方を確かめやすい分野です。数学Ⅱ,数学B,数学Cのように、4項目のうち3項目を選んで解く形式なら、苦手な項目を1つ選ばずに済む余地もあります。ただし、何を選択できるかは年度ごとの出題方法で決まるため、受験する年度の公式発表で確認してください。

苦手を科目名ではなく、分野や大問の単位で書き出すと、戻る範囲が狭くなり、取りかかるハードルも下がります。

1回の点数で苦手と決めない|平均点は年度で動く

苦手かどうかを1回の模試や過去問の点数だけで判断するのは危険です。同じ科目でも、問題の難しさによって全体の平均点は大きく動くからです。大学入試センターが公表している共通テスト本試験の平均点(100点満点に換算した値)を、令和7年度と令和8年度で並べると次のようになります。

科目 令和7年度 平均点(点) 令和8年度 平均点(点)
数学Ⅰ,数学A 53.51 47.20
数学Ⅱ,数学B,数学C 51.56 54.52
物理 58.96 45.55
化学 45.34 56.86
英語 リーディング 57.69 62.81
英語 リスニング 61.31 54.65

物理や化学のように、1年で平均点が10点以上動く科目もあります。過去問を解いて点数が低かったとき、それが自分の力不足なのか、その年の問題が難しかったのかは、点数だけでは区別できません。点数は、その年の平均点と並べて見る、そして同じ分野で何度も間違えているかを見る。この2つを確かめてから、苦手と判断するようにしてください。

志望校の配点から、苦手科目に使う時間を決める

苦手科目にどれだけ時間を使うかは、気持ちではなく志望校の配点で決めます。同じ苦手でも、配点の重い科目なら優先度は高く、受験で使わない科目なら時間をかける理由がありません。

各大学の配点は、共通テストと個別試験でどの教科にどれだけの点を割り当てるかを含めて、大学ごとに異なります。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、各大学は評価方法などを記した募集要項を令和8年12月15日までに発表するとされています。苦手科目の優先度は、志望校の当年度の募集要項で配点を確かめてから決めるのが確実です。

科目ごとに、配点と現在の得点率から上積みできる点を計算して時間を割り振る手順は、大学受験の夏休みの勉強計画で詳しく紹介しています。苦手科目の扱いを決めるときは、次の3点を目安にしてください。

  • 配点が重く、得点率が低い科目は、毎日の固定枠で時間を確保する
  • 配点が軽い科目は、分野を絞って最低限の得点を守る
  • 得意科目は演習の量を少し減らしてでも維持に回し、浮いた時間を苦手に移す

どこまで戻るかの判断|中学範囲・教科書・基礎問題集

基礎に戻ると決めても、戻りすぎれば時間が足りず、戻り方が浅ければ積み残しが埋まりません。どこまで戻るかは、次の順で確かめると決めやすくなります。

確かめること 当てはまったら戻る先
基礎問題集の例題を、解説を見ずに解けるか 解ければ基礎問題集の演習から再開する
教科書の例題を、解説を見ずに解けるか 解けなければ教科書の該当単元に戻る
教科書の説明で使われている用語や計算が分かるか 分からなければ中学範囲の該当単元まで戻る

数学なら、二次関数でつまずいている人が実は中学の一次関数や式の計算で止まっていることがあります。英語なら、長文が読めない原因が中学レベルの文法や語彙にあることも珍しくありません。戻るのは苦手な分野に関係する単元だけでかまいません。中学範囲を全部やり直す必要はなく、つまずいた地点を確かめてから、そこだけを埋めていきます。

苦手を潰す4ステップ

原因と戻る地点が決まったら、次の4ステップで潰していきます。

ステップ やること ねらい
①原因分解 基礎の抜け・解き方・時間配分のどれかを見極める 何が壁か特定する
②基礎まで戻る 分からなくなった地点まで戻ってやり直す 積み残しを埋める
③やさしい教材で成功体験 簡単に解ける教材で、解けたという感覚を積む 取りかかる抵抗を減らす
④演習で定着 少しずつレベルを上げて解く量を増やす 得点力に変える

このフレームの狙いは、苦手という漠然とした状態を、具体的な作業に変えることです。嫌悪感が強い場合は、いきなり難しい問題に向かわず、③のやさしい教材から入ると取りかかりやすくなります。1日の中で苦手科目の枠を決まった時間に固定し、短い時間でも毎日触れることが、積み残しを増やさないための基本です。

科目別の最初の一冊の選び方

苦手科目の最初の一冊は、今のレベルより易しく、解説が丁寧なものを選びます。書店で実物を確かめるときは、次の点を見てください。

科目 最初の一冊で見るポイント
英語 中学範囲の文法から説明があるか。例文に音声が付いているか
数学 例題の解説で途中式が省かれていないか。単元ごとに分冊されているか
国語 古典なら単語と文法が分かれているか。現代文なら解き方の手順が言葉で示されているか
理科 図や実験の説明が多く、計算問題に途中式があるか
地理歴史・公民 流れを文章で説明する講義形式か。用語の一問一答だけで終わっていないか

共通して大切なのは、1ページ目から最後まで読み切れそうだと感じるものを選ぶことです。難しすぎる一冊を途中で投げ出すより、易しい一冊をやり切るほうが、次の教材に進むための土台になります。

次の参考書は、会話形式でやさしく解説していて、数学の基礎からつまずきを埋め直すのに向いています(数学の例です。他の科目は上の表の観点で、苦手な分野に合った入門書を選んでください)。


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伸びを確かめる記録の付け方

苦手科目は、伸びが実感しにくいことが挫折の原因になりがちです。点数だけでなく、どの分野で、どの原因の間違いが減ったかを記録しておくと、変化を確かめられます。ノートや表計算ソフトに、次の列を作っておくのがおすすめです。

記録する項目 書き方の例
日付 解いた日
分野・大問 数学Aの場合の数と確率、国語の古文 など
問題 教材名とページ、問題番号
結果 正解・不正解・時間切れ
原因 基礎の抜け・解き方・時間配分のどれか
次にやること 戻る単元、解き直す日

1〜2週間ごとに記録を見返し、原因の欄で基礎の抜けが減って解き方や時間配分に移っていれば、積み残しが埋まってきた目安になります。同じ分野で同じ原因の間違いが続く場合は、戻る地点がまだ浅い可能性があるので、1段階前の教材に戻ってください。

捨てるか克服するかの線引き

苦手科目のすべてを克服しようとすると、時間がいくらあっても足りません。受験までの残り時間と配点を踏まえて、克服する分野と、最低限にとどめる分野を分けることも必要です。

状況 判断の目安
志望校の受験科目に含まれない 時間をかけない
受験科目だが、選択問題で避けられる分野 残り時間が少なければ、選ぶ分野の演習に回す
受験科目で、必ず解答する分野 捨てずに、基礎問題で取れる点を確保する
配点が重い科目の、中心になる分野 最優先で克服する

注意したいのは、必ず解答しなければならない分野を丸ごと捨てないことです。基礎的な問題だけでも取れるようにしておけば、その分野を白紙にするよりも総合点の下支えになります。苦手科目が志望校の配点で大きな比重を占め、残り時間では埋めきれないと感じたときは、受験方式や併願の組み方を見直すことも一つの選択肢です。その判断のしかたは大学受験で志望校を下げるか迷ったときで整理しています。

一人で潰せないときは個別で

どこから抜けているか分からない、やさしい教材でもつまずくという場合は、一人で抱え込まないのも手です。苦手科目に特化した個別指導なら、つまずきの地点を診断して、その科目だけを集中的に見てもらえます。

原因の見極めは、自分では気づきにくいことがあります。オンライン個別指導の資料請求は無料なので、選択肢として情報を集めておくと安心です。

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筆者の判断基準

この記事の内容は、次の基準で組み立てています。

  • 配点と平均点は公式の値だけを使う:試験時間・配点・出題範囲の選択方法は大学入試センターの出題方法等、平均点は同センターの推移の公表値、募集要項の発表期限は文部科学省の実施要項から引いています。受験する年度の値は必ず公式発表で確かめてください。
  • 苦手は分野と原因で測る:科目名や1回の点数で苦手と決めず、間違えた問題を分野と3つの原因に分けて判断する方法をとっています。
  • 戻る範囲は最小限にする:中学範囲の全面的なやり直しではなく、苦手な分野に関係する単元だけに戻る方法を勧めています。
  • 捨てる判断は配点と選択の可否で決める:必ず解答する分野は丸ごと捨てず、基礎問題で取れる点を確保する考え方にしています。
  • 効果を断定しない:この手順で必ず成績が上がると言い切る書き方はしていません。何から手をつけるかを決めるための整理の方法として使ってください。

よくある質問

苦手科目に時間を割くと、得意科目が下がりませんか?

得意科目は演習の量を少し減らして維持に回し、浮いた時間を苦手科目に移すのが基本です。まったく触れない期間を作ると感覚が鈍るため、得意科目も短い時間で毎日続けてください。どちらにどれだけ割くかは、志望校の配点で上積みできる点を比べて決めると迷いにくくなります。

基礎に戻るのは遠回りに感じます。

積み残しがある状態で応用問題に進んでも、解説を読むだけで終わりやすくなります。戻るのは苦手な分野に関係する単元だけなので、全範囲をやり直すほどの時間はかかりません。記録を付けて、戻った単元の間違いが減っているかを確かめながら進めると、遠回りかどうかも判断できます。

どうしても苦手科目が好きになれません。

好きになる必要はありません。解ける問題が増えれば、取りかかるときの抵抗は小さくなっていきます。やさしい教材から入り、1日の決まった時間に短く取り組む形にすると、気持ちに左右されずに続けやすくなります。

参照した公式情報(取得日)

入試の配点や出題方法は年度ごとに変わります。受験する年度の公式ページと、志望校の募集要項で必ず確認してください。

まとめ|原因を分け、戻る地点を決めて埋め直す

大学受験の苦手科目は、才能ではなく積み残しが原因であることがほとんどです。

  • 間違えた問題を、基礎の抜け・解き方・時間配分の3つに分ける
  • 苦手は科目名ではなく、分野や大問の単位で書き出す
  • 1回の点数で判断せず、平均点と並べて見る
  • 志望校の配点で、苦手科目に使う時間を決める
  • 戻るのは、苦手な分野に関係する単元だけ
  • 記録を付けて、原因の変化で伸びを確かめる

一人で原因が見つからないときは、個別指導で診断してもらうのも一つの方法です。苦手を分野単位の作業に変えて、一つずつ埋めていきましょう。

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