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記述問題になると手が止まる。空欄のまま、あるいは的外れなことを書いてしまう——。中学受験の国語で、記述は多くの子がつまずくポイントです。選択問題は解けるのに記述だけ苦手、というケースも少なくありません。
ですが、記述は文才やセンスの問題ではありません。設問のタイプごとに「こう書き出せばよい」という型があります。型を知り、それに沿って本文から材料を拾えるようになれば、記述は着実に書けるようになります。
この記事では、まずどこで止まっているかを4つに切り分け、そのうえで設問タイプ別の型と、家庭でできる採点のしかたまでを紹介します。
記述だけ落とすのは、珍しいことではありません
まず知っておいてほしいのは、記述で点が取れないのは特別なことではない、ということです。
国立教育政策研究所が実施した令和7年度の全国学力・学習状況調査(小学校6年生・国語)では、問題形式ごとの平均正答率が次のように公表されています。
| 問題形式 | 平均正答率 |
|---|---|
| 短答式 | 78.6% |
| 選択式 | 64.9% |
| 記述式 | 59.0% |
(国語全体の平均正答率は67.0%。領域別では「C 読むこと」が57.7%で最も低い)
短答式と記述式では、平均正答率に20ポイント近い差があります。全国的に見ても、記述は最も差が出やすい形式です。中学受験の記述はこれよりさらに難度が上がるので、「うちの子だけできない」と焦る必要はありません。裏を返せば、ここで点を取れると差がつきやすいということでもあります。
どこで止まっているかを4タイプに切り分ける
「記述が書けない」といっても、止まっている場所は子どもによって違います。答案を1枚見て、次の4つのどれに当てはまるかを確かめてください。
タイプ1:そもそも本文の根拠が取れない
設問を読んでも、本文のどこを見ればいいか分からない。答案は空欄か、記憶で書いた見当違いの内容になります。
手当て:記述の練習より前に、設問の答えがどの段落にあるかを指させる練習から始めます。「この設問の答えは何ページの何行目あたり?」と聞き、指させるだけで構いません。読み取りそのものが弱い場合は小学生の読解力を伸ばす家庭学習|家でできる読解トレーニングから取り組むほうが早道です。
タイプ2:根拠は取れるが、文にできない
「ここが答えっぽい」までは分かるのに、それを文の形にできない。書いては消して、を繰り返します。
手当て:後述の型(文末を先に決める)が最も効くタイプです。あわせて、書く前に口で言わせるのも有効。「どういうこと?」と聞いて口頭で答えさせ、その言葉をそのまま書かせます。
タイプ3:書けるが、文末がずれる
内容は合っているのに、「なぜですか」に対して「〜気持ち。」で終わるなど、設問と答えの形が噛み合わない。内容は取れているのに減点される、もったいないタイプです。
手当て:答案を書く前に、設問の語尾に線を引かせる。「なぜ」なら「〜から。」、「どんな気持ち」なら「〜という気持ち。」と、先に文末だけ書いてしまう手順にします。
タイプ4:字数が埋まらない
書き出せるが、指定字数の半分ほどで終わってしまう。要素の数が足りていない状態です。
手当て:模範解答を要素に分解して数える練習をします(後述の要素採点)。「この答えは3要素でできている」と分かると、自分の答案に何が足りないかが見えます。
| タイプ | 答案の見え方 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 1 根拠が取れない | 空欄・見当違い | 答えのある段落を指させる |
| 2 文にできない | 書いては消す | 口で言わせて、その言葉を書かせる |
| 3 文末がずれる | 内容は合うのに減点 | 設問の語尾に線→文末を先に書く |
| 4 字数が埋まらない | 半分で終わる | 模範解答を要素に分解して数える |
書き出す前の手順
型の前に、書き出す前にやることを決めておきます。ここを飛ばして書き始めると、書きながら考えることになり、手が止まります。
- 設問の語尾を確認して、文末を決める(「なぜ」→「〜から。」)
- 本文の根拠になりそうな部分に印をつける(1か所とは限りません)
- 印をつけた部分から、答えに要る要素を箇条書きで抜き出す
- 要素を並べ替えて、決めた文末につなげる
この4手順は、学習指導要領で「書くこと」が題材の設定・情報の収集・内容の検討 → 構成の検討 → 考えの形成・記述 → 推敲という流れで整理されているのと同じ構造です。学校で習う書き方の順序と、記述問題の解き方はつながっています。
設問タイプ別・記述の型
中学受験の記述は、大きく3つのタイプに分かれます。それぞれ、答えの「文末」と「骨組み」が決まっています。
| 設問タイプ | 聞かれていること | 答えの型(骨組み) |
|---|---|---|
| 理由型(なぜ〜か) | 原因・理由 | 「〜だから。」で結ぶ。本文の因果を「Aなので B」の形でつなぐ |
| 心情型(どんな気持ちか) | 登場人物の心情 | 「〜という気持ち。」で結ぶ。〈きっかけ+感情〉をセットで書く |
| 要約・説明型(どういうことか) | 内容の言い換え | 「〜ということ。」で結ぶ。指示語・比喩を本文の言葉で置き換える |
この型の狙いは、「文末」を先に決めてしまうことです。文末が決まれば、そこに向けて本文から材料を拾えばよいので、書き出しの迷いが消えます。心情型なら「きっかけ(できごと)」と「感情」の2要素を必ず入れる、というように、拾うべき要素も型に含まれています。
字数が埋まらないときの足し方
指定字数の8割に届かないときは、要素を足します。足す順番はタイプごとに決まっています。
| 設問タイプ | 足す要素(優先順) |
|---|---|
| 理由型 | ①直接の理由 → ②その理由が生まれた背景 → ③その結果どうなるか |
| 心情型 | ①きっかけのできごと → ②感情 → ③その感情に至った理由や、それまでの経緯 |
| 要約・説明型 | ①指示語の中身 → ②言い換えの対象 → ③本文中の具体例の要約 |
逆に、字数を超えたときに削るのは「本文の言い回しをそのまま長く写した部分」からです。自分で要約できていない箇所ほど、無駄に長くなっています。
減点を防ぐ3つの原則
- 設問の文末に答える:「なぜ」には「〜から」、「気持ち」には「〜気持ち」で必ず結ぶ
- 本文の言葉を使う:自分の言葉で言い換えすぎず、本文の表現を土台にする
- 指定字数の8割以上を埋める:要素を足して、空白を作らない
特に「設問の文末に答える」は、内容が合っていても文末がずれると減点される、タイプ3のミスを防ぎます。
記述は、書いたものを添削してもらうと伸びが速い分野です。家庭で採点しづらいと感じたら、国語専門の指導で記述の型と直し方を教わるのも有効です。資料請求は無料なので、選択肢として情報を集めておくとよいでしょう。
国語指導・現代日本国語塾
家庭でできる「要素採点」
家庭で丸つけをするとき、文章の巧拙で見ると親子とも消耗します。おすすめは要素採点です。
- 模範解答を要素に分解して番号を振る(例:①きっかけ ②感情 ③理由)
- 子どもの答案に、入っている要素の番号を書き込む
- 入っていない番号だけを本人に伝え、その要素を本文から探させる
- 書き直しは、答案全体ではなく足りない要素の一文だけ
このやり方なら、親が国語の専門家でなくても採点できます。しかも、直す作業が「一文を足す」だけなので、子どもが嫌がりにくいのも利点です。
夏休みなど、まとまった時間が取れる時期にまとめて練習すると型が定着しやすくなります。教材や時間の使い方は中学受験の夏バテで勉強に集中できないときの対策と学習グッズや中学受験のテキスト収納方法も参考にしてください。
型を身につける教材
型を体系的に練習するには、記述に特化した問題集が役立ちます。次の一冊は、記述問題の解き方を段階的に攻略できる構成で、家庭学習で型を定着させるのに向いています。
親が教え方から知りたい場合は、家庭でのサポートを前提に書かれた教材のほうが使いやすいこともあります。
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★0.0(レビュー0件)|ネオウィング 楽天市場店
筆者の判断基準
記述の相談を受けたとき、筆者がまず見るのは答案が空欄かどうかです。
空欄が多いなら、それは記述の練習不足ではなく読み取りの問題(タイプ1)である可能性が高く、記述の問題集を足しても効きません。逆に、内容がずれていても何か書けているなら、型と要素の練習で比較的早く改善します。
もうひとつの基準は、模範解答を要素に分解できるかです。これは子どもではなく、採点する親側の話です。ここができると、家庭学習の質が一段変わります。分解できないうちは、問題集を増やすより、1問を丁寧に分解する練習のほうが効果的だと考えています。
添削を外に出すかどうかは、タイプ3・4まで来てからでよいというのが筆者の考えです。タイプ1・2の段階は家庭でも十分に手当てできます。
よくある質問
記述の丸つけを家でどうすればいいですか?
前述の要素採点がおすすめです。模範解答を要素に分解して番号を振り、子どもの答案に入っている番号を書き込む。足りない番号だけを伝えて、その要素を本文から探させます。文章の巧拙より、要素の過不足を見るのがコツです。
字数が全然埋まりません。
要素が足りていないサインです。理由型なら「直接の理由→背景→結果」、心情型なら「きっかけ→感情→経緯」と、足す順番が決まっています。字数を埋めるために言い回しを長くするのは逆効果で、削られる部分が増えるだけです。
選択問題は解けるのに記述だけ苦手です。
選択肢という「材料」がない状態で、自分で要素を組み立てる練習が不足しています。全国調査でも短答式と記述式では正答率に差があり、珍しい状態ではありません。型に沿って本文から要素を拾う練習を重ねましょう。
まとめ:文末を先に決めれば書き出せる
中学受験の国語で記述が書けないのは、才能ではなく手順を知らないだけです。
まずどこで止まっているか(根拠が取れない/文にできない/文末がずれる/字数が埋まらない)を切り分ける。次に、書き出す前に文末を決め、本文の根拠に印をつけ、要素を抜き出して並べる。設問タイプ別の型に沿って書き、家庭では要素採点で直す。この手順を身につければ、記述は着実に書けるようになります。
参照した公式情報(取得日 2026-08-30)
- 国立教育政策研究所 令和7年度 全国学力・学習状況調査 報告書(小学校国語の問題形式別・領域別平均正答率): https://www.nier.go.jp/25chousakekkahoukoku/report/data/25summary.pdf
- 文部科学省 小学校学習指導要領 付録6 教科の目標,各学年の目標及び内容の系統表(小・中学校国語科)「書くこと」: https://www.mext.go.jp/content/1407196_24_1.pdf


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