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学校基本調査とは?何がわかる調査か・進学率データの見方と最新値の調べ方
進路を考え始めると、ニュースや進学情報でよく目にするのが学校基本調査という言葉です。名前は聞いたことがあっても、誰が・何を・いつ調べている調査なのか、そして出てきた数字をどう読めばいいのかは、意外とわかりにくいものではないでしょうか。
実際に検索してみると、上位に並ぶのは文部科学省の公式ページと政府統計のポータルサイトばかりで、開いてはみたけれど、どこを見れば知りたい数字があるのかわからない、という状態になりがちです。
この記事では、学校基本調査がどんな調査で、そこから何がわかるのか、進学率などのデータをどう読み、最新の数値をどこで確認すればよいのかを、保護者・受験生の目線で整理しました。公式サイトの要約ではなく、公式にたどり着いたあとで迷わないための読み方をまとめています。
学校基本調査とは、どんな調査か
学校基本調査は、文部科学省が学校に関する基本的事項を調査し、学校教育行政上の基礎資料を得ることを目的として実施している調査です。根拠となる法令は統計法で、国の重要な統計に位置づけられています。
対象は、幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学を含む)、高等専門学校、専修学校および各種学校と、市町村教育委員会です。しかも抽出方法は全数調査で、サンプル調査ではありません。一部を抜き出して全体を推計しているのではなく、原則としてすべての学校が回答している数字だという点が、この調査の信頼度を支えています。
調査期日、つまりデータの基準日は毎年5月1日現在です。実施は昭和23年度から毎年続いており、同じ方法で積み重ねられているため、在学者数や進学率が時代とともにどう変わってきたかを、長い時系列で比べられます。
回答の流れも押さえておくと、数字の出どころが具体的に見えてきます。調査票は都道府県・市町村を経由して配布され、学校が記入した調査票を市町村長が審査・整理して都道府県知事に提出し、都道府県知事が同様に文部科学大臣へ提出します。学校の現場が書いた内容を、自治体が確認したうえで積み上げた数字だということです。
出典: 文部科学省 学校基本調査 調査の概要(2026年9月6日取得)
この調査は5つの調査票でできている
学校基本調査は、ひとつの調査票にすべてを書かせる調査ではありません。目的の違う複数の調査票の集まりで、何がわかるかは調査票ごとに分かれています。ここを知っておくと、探している数字がどの区分にあるのか見当をつけられます。
- 学校調査・学校通信教育調査:学校数、学級数、在学者数、教職員数など。通信制課程は別の調査票で扱われる
- 卒業後の状況調査:卒業者が進学したのか就職したのかという進路。進学率・就職者の割合はここ
- 学校施設調査:学校の土地・建物の面積など
- 不就学学齢児童生徒調査:就学していない学齢の児童生徒の状況
- 学校経費調査:学校の収入・支出(前年度間が対象)
つまり学校基本調査でわかるのは、大きく言えば、日本の子どもや若者がどの段階で何人学び、卒業後どこへ進んでいるかの全体像です。進路を考えるうえで直接参考になるのは、在学者数の推移と、卒業後の状況調査の進学率・就職者の割合の部分になります。
いつ公表される?速報と確定値は載っている項目が違う
結果は同じ年度に2回、速報と確定値に分けて公表されます。ここで多くの人が取り違えるのが、両者の違いは時期だけではなく、載っている項目そのものが違うという点です。
| 区分 | 公表時期の目安 | 主な公表項目 |
|---|---|---|
| 速報 | 8月ごろ | 学校数、学級数、学校種ごとの在学者数・教職員数 |
| 確定値 | 12月ごろ | 全項目(卒業後の状況=進学率・就職者の割合を含む) |
実際、令和8年度の調査は令和8年8月26日に速報値が公表されましたが、公表項目は学校数・学級数・学校種ごとの在学者数と教職員数で、進学率は含まれていません。全項目の集計結果は同年12月に確定値として公表される予定とされています。
ですから、夏に今年の進学率を知りたいと探しても見つからないのは当然で、進学率などの進路データを引用したいときは確定値を待つ必要があります。ニュースで夏に大きく報じられるのは在学者数や学校数の速報値である、と知っておくと、数字の位置づけを取り違えずにすみます。
出典: 文部科学省 学校基本調査-令和8年度 結果の概要-(2026年9月6日取得)
進学率データの見方——進学率は2系統ある
学校基本調査を読むときに最も戸惑いやすいのが、進学率と呼ばれる数字が1種類ではないことです。公表資料には、分母の取り方が違う2系統の指標が並んでいます。
| 系統 | 分母 | 呼び方の例 |
|---|---|---|
| 卒業者に占める割合 | その年3月の高等学校・中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部の卒業者 | 卒業者に占める大学・短期大学への進学者の割合 |
| 進学率(過年度卒を含む) | 3年前の中学校・義務教育学校・特別支援学校中学部の卒業者等 | 高等教育機関進学率、大学(学部)進学率 |
後者は分母が3年前の中学卒業者なので、浪人して進学した人も分子に入ります。前者はその年に卒業した人だけを見ています。同じ進学を測っていても、対象がまったく同じではないわけです。
令和7年度確定値(令和7年3月卒業者)の主な数値は次のとおりです。
| 指標 | 値 | 前年度からの動き |
|---|---|---|
| 卒業者に占める大学・短期大学進学者の割合 | 61.4%(うち大学学部58.3%) | 0.7ポイント上昇・過去最高 |
| 大学(学部)・短期大学(本科)進学率(過年度卒を含む) | 61.4% | 0.3ポイント低下 |
| 大学(学部)進学率(過年度卒を含む) | 58.6% | ほぼ横ばい |
| 高等教育機関への進学率(過年度卒を含む) | 85.4% | 1.1ポイント低下 |
| 卒業者に占める専門学校進学者の割合 | 14.4% | 0.7ポイント低下 |
| 卒業者に占める就職者の割合 | 13.8% | 0.2ポイント低下・過去最低 |
注目してほしいのは、上2行がどちらも61.4%なのに、片方は過去最高で、もう片方は前年度より低下している点です。数字が同じでも、分母が違えば意味が違い、動きの向きすら逆になります。進学率を引用するときに定義の確認が欠かせないのは、このためです。
さらに、令和7年度の確定値公表では、高等教育機関への進学率をはじめとした参考指標の算定式が改められ、過去にさかのぼって再集計されています。数年前の記事やまとめサイトに載っている進学率と、現在の公表値を単純に引き比べると、実態とずれた変化を読み取ってしまう可能性があります。
出典: 文部科学省 学校基本調査-令和7年度 結果の概要-(2026年9月6日取得)
数字そのものよりも読み方に自信を持ちたい方には、身近な題材でデータの読み解き方を練習できる一冊が役立ちます。
さまざまなデータを題材に、その数字から何が読みとれるのかをクイズ形式で考えていく内容です。定義の違いで印象が変わる数字と向き合うときの、基礎的な見方を養えます。ただし学校基本調査そのものを解説した本ではないので、この調査の中身だけを詳しく知りたい方は、本記事の出典に挙げた公式資料を直接読むほうが早道です。
読み間違えやすい5つのポイント(筆者の判断基準)
公表資料を読むときに、必ず確認しておきたいのが次の5点です。ここを押さえておけば、ニュースで見た数字に振り回されにくくなります。
- その項目は速報に載るのか確認する。夏の時点で進学率を探しても見つかりません。進路系の数字は12月ごろの確定値が出そろってからです
- 進学率は分母を確認する。その年の卒業者が分母か、3年前の中学卒業者が分母かで、同じ数値でも意味が変わります
- 数年前の数字と単純比較しない。算定式が改定され過去にさかのぼって再集計された指標があるため、比べるなら同じ公表資料の中の時系列を使います
- 過去最高・過去最少がどの単位の話か見る。在学者数(人数)の最多・最少なのか、割合(%)の最高・最低なのかで、示している内容はまったく違います
- 年度表記を基準日に置き換える。令和8年度の数字は令和8年5月1日現在の状態です。年度名だけ見て今の数字と思い込まないようにします
この5点は、進学率に限らず在学者数や教職員数を読むときにも同じように使えます。
最新データからわかる大きな傾向
長い時系列で積み重ねられているからこそ、学校基本調査からは日本の教育の大きな流れが読み取れます。近年の特徴は、少子化で小・中学校の在学者数が減る一方、大学に在籍する人の数はむしろ増えているという対照的な動きです。
令和8年度の速報値(令和8年5月1日現在)では、次のような状況が示されています。
| 区分 | 在学者数 | 前年度からの動き |
|---|---|---|
| 大学(全体) | 300万1千人 | 2万8千人増・過去最多 |
| うち学部 | 266万4千人 | 1万8千人増・過去最多 |
| うち大学院 | 28万5千人 | 7千7百人増・過去最多 |
| 小学校 | 565万4千人 | 15万8千人減・過去最少 |
| 中学校 | 306万人 | 4万5千人減・過去最少 |
| 幼稚園 | 62万7千人 | 6万2千人減 |
| 幼保連携型認定こども園 | 88万2千人 | 6千人増・過去最多 |
| 高等学校(通信制) | 31万2千人 | 7千人増・過去最多 |
子どもの数が減っているのに大学生が増えているのは、進学する割合が上がっているためです。また、幼稚園が減って幼保連携型認定こども園が増える、通信制高校の生徒が増えるといった、就学先の中身が入れ替わる動きも同時に起きています。学部学生に占める女子学生の割合も46.4%と過去最高になりました。
出典: 文部科学省 学校基本調査-令和8年度 結果の概要-(2026年9月6日取得)
こうした進学行動の変化は、地域による違いや家庭の状況など、さまざまな要因が絡み合って生まれます。統計をもとに背景を掘り下げた研究書もあります。
大学進学にともなう地域の移動を、マクロ・ミクロ両面のデータから実証的に分析した研究書です。数字の裏側にある人々の選択を知りたい方に向いています。学術書のため統計の入門書としては読みにくく、まず基本を押さえたい段階の方には向きません。統計の全体像から知りたい場合は、同じ文部科学省が毎年まとめている白書を扱った教育白書とは?文部科学白書で何がわかる・どこで読めるかをやさしく解説もあわせてご覧ください。
数字を、わが家の進路選びにつなげる
進学率のデータは全体の傾向をつかむのに役立ちますが、最終的に大事なのは、その先で何をしたいかです。
卒業後の状況調査は、大学に入ったあとの進路まで追いかけています。令和7年3月に大学(学部)を卒業した人のうち、就職者の割合は77.0%で前年度より0.5ポイント上昇し、大学院等への進学率は12.7%でした。高校からの進学率だけでなく、その先の出口の数字まで同じ調査で確認できるということです。
なお、学校基本調査は人数と進路の統計であって、費用は扱っていません。進学にいくらかかるのかを同じように公的なデータで確認したい場合は、文部科学省の別の調査を扱った子供の学習費調査で見る教育費の目安|公立・私立の年間金額と内訳が参考になります。
数字を眺めて終わりにせず、お子さん自身が興味のある分野や仕事に目を向けるきっかけにできると、進路の話し合いも前向きになります。
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数多くの職業を紹介しながら、中学生・高校生が将来の仕事や進路を考えるきっかけをつくる一冊です。全体の数字と、お子さんのやりたいことを結びつける入り口として、家庭で一緒に読むのに向いています。
e-Statで目的の表にたどり着く手順
学校基本調査の詳しい集計表は、政府統計の総合窓口であるe-Statに掲載されています。ただし、開いてすぐ目的の数字が出てくる作りではないため、絞り込みの順番を知っておくと迷いません。次の順に選んでいきます。
- 年度を選ぶ:令和8年度(速報)、令和7年度、令和6年度…と年度別に並んでいます。進学率を見たいなら、速報ではなく確定値のある年度を選びます
- 学校段階のグループを選ぶ:初等中等教育機関・専修学校・各種学校のグループと、高等教育機関のグループに大きく分かれています。大学の数字は後者です
- 調査の種類を選ぶ:学校調査・学校通信教育調査、卒業後の状況調査、学校施設調査、不就学学齢児童生徒調査、学校経費調査から選びます。進学率・就職者の割合は卒業後の状況調査です
- 学校種と集計区分を選ぶ:幼稚園から大学院まで学校種ごとに表が分かれ、さらに報告書掲載集計・未掲載集計・市町村別集計・参考資料(年次統計)といった区分があります。都道府県別や市町村別の数字が必要なときはここで選びます
長期の推移を一気に見たいときは、年度をまたいだ数値がまとまっている参考資料(年次統計)が便利です。なお、公表後に数値が訂正されることもあるため、文部科学省の学校基本調査ページにある用語の解説・利用上の注意・正誤情報にも一度目を通しておくと安心です。学校側が回答する際の手引きや調査票の様式も、同じページから確認できます。
学校基本調査に限らず、文部科学省が発表する教育関連の情報を公式サイトでたどる方法は、「文部科学省の教育ニュースはどこで見る?公式の探し方と保護者の追い方」でまとめています。
- e-Stat 学校基本調査(2026年9月6日取得)
- 文部科学省 学校基本調査(2026年9月6日取得)
よくある質問(Q&A)
Q. 学校基本調査は誰が、いつ行っているのですか?
A. 文部科学省が統計法に基づいて毎年実施している調査で、データの基準日は毎年5月1日現在です。昭和23年度から続いており、対象となる学校をすべて調べる全数調査です。
Q. 結果はいつ公表されますか?
A. 同じ年度内に2回に分けて公表されます。8月ごろに速報、12月ごろに確定値が出るのが通例です。令和8年度は令和8年8月26日に速報値が公表されました。
Q. 速報が出たのに進学率が見当たりません。なぜですか?
A. 速報の公表項目は学校数・学級数・学校種ごとの在学者数と教職員数で、卒業後の状況(進学率・就職者の割合)は含まれないためです。進路系の数字は12月ごろの確定値で公表されます。
Q. 進学率の数字がニュースによって違って見えるのはなぜですか?
A. 分母の取り方が違う2系統があるためです。その年3月の卒業者を分母にした卒業者に占める割合と、3年前の中学校卒業者等を分母にした進学率(過年度卒を含む)があり、後者には浪人して進学した人も含まれます。
Q. 数年前の記事に載っている進学率と比べてもよいですか?
A. 注意が必要です。令和7年度の確定値公表で、高等教育機関への進学率をはじめとした参考指標の算定式が改められ、過去にさかのぼって再集計されています。比較するなら、同じ公表資料の中に載っている時系列を使うのが安全です。
Q. 最新の正確な数値はどこで確認できますか?
A. 文部科学省の学校基本調査ページと、政府統計の総合窓口であるe-Statで確認できます。年度ごとの結果の概要と、詳細な集計表が公開されています。
参照した公式情報(取得日: 2026年9月6日)
- 文部科学省 学校基本調査 調査の概要(目的・根拠法令・調査対象・全数調査・調査事項・調査期日・報告の経路)
- 文部科学省 学校基本調査-令和8年度 結果の概要-(令和8年8月26日公表の速報値。調査期日・公表項目・確定値の予定・在学者数)
- 文部科学省 学校基本調査-令和7年度 結果の概要-(令和7年12月26日公表の確定値。進学率・就職者の割合・算定式の改定)
- 文部科学省 学校基本調査(用語の解説・利用上の注意・正誤情報・公表予定)
- e-Stat 学校基本調査(年度別・調査別・学校種別の集計表)
まとめ
学校基本調査は、文部科学省が統計法に基づき毎年5月1日現在で実施している全数調査で、学校数・在学者数・教職員数・卒業後の進路などを調べています。昭和23年度から続く長い時系列があるため、教育の大きな変化を読み取れるのが強みです。
読むときのポイントは3つです。速報と確定値では載っている項目そのものが違うこと、進学率には分母の違う2系統があること、そして算定式の改定があるため古い数字との単純比較は避けること。この3点を押さえておけば、進路の話題に出てくるデータに惑わされにくくなります。
数値は本記事の取得日時点のものです。最新の状況は、文部科学省の学校基本調査ページとe-Statの公式でご確認ください。


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