子供の学習費調査で見る教育費の目安|公立・私立の年間金額と内訳

子どもの学習費調査でわかる教育費の目安は?公立・私立で見る年間データの読み方 勉強法・学習グッズ

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子供の学習費調査で見る教育費の目安|公立・私立の年間金額と内訳

「子どもの教育費って、結局いくらかかるんだろう」「公立と私立でどのくらい違うのか、まとまった目安が知りたい」——子育て中の家計を考えるとき、多くの保護者がぶつかるのがこの疑問ではないでしょうか。周りの話やネット情報はバラバラで、何を基準にすればいいのか迷ってしまいます。

こうしたときに一つの手がかりになるのが、文部科学省が実施している「子供の学習費調査」です。金融機関や保険会社の解説記事でもよく引用される、教育費の目安として広く参照される公的統計のひとつです。

ただ、引用のされ方はまちまちで、万円単位に丸めた数字だけが独り歩きしていることも少なくありません。この記事では、令和5年度の調査結果を公表資料そのものにあたって整理し、学校種別の年間金額・費目ごとの構成比・学年や世帯年収による違いまで、目安として使える形にまとめました。あわせて、この調査で何が分かり何が分からないのか、読み違えやすいポイントも取り上げます。

読み終えるころには、我が家の教育費を考えるときの「ものさし」と、その使い方の注意点が同時に手に入るはずです。

なお、この記事の金額はすべて文部科学省の公表資料に基づく令和5年度の値です(本文中は読みやすさのため万円単位に丸め、表では公表どおりの単位で示しています)。

子供の学習費調査とは?目的・根拠・調査時期をおさえる

まず、この調査がどういう性格のものかを押さえておくと、数字の読み方が変わります。

調査の目的と根拠

この調査は、子供を公立または私立の学校に通わせている保護者が、子供の学校教育および学校外活動のために支出した経費や、世帯の年間収入、保護者・兄弟姉妹の状況などの実態をとらえ、教育に関する国の諸施策を検討・立案するための基礎資料を得ることを目的としています。

根拠は統計法(平成19年法律第53号)に基づく一般統計調査です。つまり、民間企業が自社サービスの利用者に聞いたアンケートとは性格が異なり、国が制度設計のために継続的に積み上げている統計だという点が、まず押さえどころになります。

実施時期と周期

調査は平成6年から隔年(2年ごと)で実施されてきました。ただし令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、令和3年度から改めて隔年の実施に戻っています。

最新の令和5年度調査は、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの1年間が対象期間です。結果は令和6年12月に公表され、その後訂正版が出ています。「最新版」と書かれた解説記事でも、参照している年度が古いままのことがあるため、年度の表記は必ず確認したいところです。

なお学校数や進学率など、学校そのものの規模を知りたい場合は別の統計になります。進学率データの読み方は「学校基本調査とは?何がわかる調査か・進学率データの見方と最新値の調べ方」で解説しているので、費用の結果とあわせて確認してみてください。

調査対象の規模

対象は、公立・私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校(全日制)に通う幼児・児童・生徒の保護者です。令和5年度の実施規模は次のとおりでした。

学校種類 調査実施学校数(校) 調査実施者数(人) 集計対象者数(人)
公立 幼稚園 251 4,358 2,794
公立 小学校 405 19,346 6,627
公立 中学校 150 2,700 1,327
公立 高等学校(全日制) 221 7,956 2,775
私立 幼稚園 197 4,673 2,518
私立 小学校 74 3,473 1,659
私立 中学校 73 2,189 979
私立 高等学校(全日制) 232 8,330 3,057

調査事項は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費という3つの費目に加え、世帯の年間収入、主たる生計維持者の最終卒業学校、保護者が希望する子供の進路、兄弟姉妹の数や性別、調査対象者の出生順位などです。費用だけでなく世帯の状況もあわせて聞いている点が、あとで出てくる年収別の集計につながっています。

令和3年度調査からは調査方法にも変更が入りました。保護者調査票と学校調査票の2種類を使う方式をやめて保護者調査票に一元化し、オンライン回答を導入。調査対象数も1,140校・約2万9千人から、全国約1,600校・約5万3千人へ再設定されています。古い年度と単純に比べにくい部分があるのは、この変更が理由です。

学校種別に見る学習費総額の目安(令和5年度)

学習費総額とは、学校教育費・学校給食費・学校外活動費を合計した、保護者が支出した1年間・子供一人当たりの金額です。令和5年度の結果は次のとおりでした。

学校種別 公立(円) 私立(円) 公私比率
幼稚園 184,646 347,338 1 : 1.9
小学校 366,599 1,741,516 1 : 4.8
中学校 542,450 1,560,359 1 : 2.9
高等学校(全日制) 596,954 1,179,261 1 : 2.0

万円単位に丸めると、公立は幼稚園が約18万5千円、小学校が約36万7千円、中学校が約54万2千円、高等学校が約59万7千円。私立は幼稚園が約34万7千円、小学校が約174万2千円、中学校が約156万円、高等学校が約117万9千円です。

ここで注目したいのが右端の公私比率です。公立と私立の差が最も大きいのは小学校で、私立は公立の約4.8倍。逆に差が小さいのは高等学校の約2.0倍で、幼稚園も約1.9倍にとどまります。「私立は高い」とひとくくりにされがちですが、どの段階の私立かで負担の意味がまったく違うことが、この比率から読み取れます。

前回の令和3年度と比べると、公立幼稚園は約16万5千円から約18万5千円へ、公立小学校は約35万3千円から約36万7千円へ、公立中学校は約53万9千円から約54万2千円へ、公立高等学校は約51万4千円から約59万7千円へと、いずれも増えています。私立も幼稚園が約30万9千円から約34万7千円、小学校が約166万7千円から約174万2千円、中学校が約143万6千円から約156万円、高等学校が約105万5千円から約117万9千円と、同じ方向に動きました。直近2年間は全学校種で増加したというのが、令和5年度調査の全体像です。

なお、私立に通う子供の割合は学校種によって大きく異なります。令和5年度の学校基本統計によると、私立に通う者の割合は幼稚園で88.3%、小学校で1.3%、中学校で7.9%、高等学校(全日制)で35.5%です。私立小学校の金額は、ごく少数の家庭の実態を示した数字である点は意識しておきたいところです。

学習費総額は3つの費目でできている

学習費総額は、次の3つの費目の合計です。中身を分けて見ると、教育費の性格がより理解しやすくなります。

  • 学校教育費:子供に学校教育を受けさせるために支出した経費です。授業料、入学金・入園料、入学検定料、施設整備費等、修学旅行費、校外活動費、学級・児童会・生徒会費、PTA会費、教科書費、学用品・実験実習材料費、教科外活動費、通学費、制服、通学用品費などが含まれます。
  • 学校給食費:幼稚園・小学校・中学校において、給食費として納付した経費です。完全給食・補食給食・ミルク給食など実施形態を問いません。高等学校は対象外です。
  • 学校外活動費:保護者が子供の学校外活動のために支出した経費で、補助学習費(予習・復習・補習のための学習机や参考書の購入費、家庭教師、通信教育、学習塾へ通うための費用など)と、その他の学校外活動費(体験活動・地域活動、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動、国際交流体験活動、教養・その他の5区分)に分かれます。

3費目が学習費総額に占める構成比は、学校種と設置者で大きく変わります。

学校種別 学校教育費 公立 学校教育費 私立 学校給食費 公立 学校給食費 私立 学校外活動費 公立 学校外活動費 私立
幼稚園 37.6% 44.4% 8.3% 10.3% 54.2% 45.4%
小学校 20.3% 56.2% 9.8% 3.1% 70.0% 40.7%
中学校 27.8% 72.3% 6.6% 0.6% 65.6% 27.1%
高等学校(全日制) 58.9% 70.6% — — 41.1% 29.4%

この表が示しているのは、公立の教育費は「学校の外」で決まるということです。公立小学校では学習費総額の70.0%、公立中学校では65.6%が学校外活動費。学校に払うお金より、塾や習い事に払うお金のほうが大きいのが平均像です。

一方、私立は逆で、私立中学校では72.3%、私立高等学校では70.6%が学校教育費。私立は入学した時点で年間の支出がおおよそ決まり、公立は家庭の選択で振れ幅が生まれるという構造の違いが、構成比から見えてきます。

費目の内訳を学校種別に読む

さらに一段細かく、学校教育費の中身を見ていきます。金額の内訳が分かると、「入学の年に何が重いのか」「毎年かかるのはどれか」を分けて考えられるようになります。

幼稚園

公立・私立幼稚園の学校教育費の内訳は次のとおりです(合計は表の最下行)。

費目 公立(円) 構成比 私立(円) 構成比
入学金等 537 0.8% 15,722 10.2%
授業料 5,416 7.8% 40,166 26.1%
修学旅行費等 1,490 2.1% 3,955 2.6%
学校納付金等 7,620 11.0% 21,033 13.7%
図書・学用品・実習材料費等 13,212 19.0% 16,996 11.0%
教科外活動費 907 1.3% 3,727 2.4%
通学関係費 26,705 38.5% 39,878 25.9%
その他 13,475 19.4% 12,585 8.2%
合計 69,362 100% 154,062 100%

公立でいちばん重いのは通学関係費で、全体の38.5%。私立は授業料が26.1%で最多です。幼児教育・保育の無償化があるため授業料の比重は下がっていますが、それでも公私差の中心は授業料と入学金等にあります。

小学校

費目 公立(円) 構成比 私立(円) 構成比
入学金等 526 0.7% 62,402 6.4%
授業料 — — 510,823 52.2%
修学旅行費等 6,718 9.0% 36,799 3.8%
学校納付金等 9,533 12.8% 168,731 17.2%
図書・学用品・実習材料費等 26,860 36.1% 61,830 6.3%
教科外活動費 3,154 4.2% 13,032 1.3%
通学関係費 21,718 29.2% 111,053 11.4%
その他 5,827 7.8% 13,601 1.4%
合計 74,336 100% 978,271 100%

公立小学校は授業料が発生しないため、学校に払うお金そのものは幼稚園と大きく変わりません。最大は図書・学用品・実習材料費等の36.1%です。一方、私立小学校は授業料だけで半分以上を占めます。学校教育費の公私比率は13.2倍。公私差の正体はほぼ授業料と学校納付金等だと分かります。

中学校

費目 公立(円) 構成比 私立(円) 構成比
入学金等 1,178 0.8% 119,829 10.6%
授業料 — — 458,018 40.6%
修学旅行費等 24,234 16.1% 65,276 5.8%
学校納付金等 14,121 9.4% 172,268 15.3%
図書・学用品・実習材料費等 34,341 22.8% 80,135 7.1%
教科外活動費 27,316 18.1% 65,131 5.8%
通学関係費 44,081 29.2% 155,293 13.8%
その他 5,490 3.6% 12,111 1.1%
合計 150,761 100% 1,128,061 100%

公立中学校は通学関係費が29.2%で最多。ここには制服や通学用品費が含まれます。次いで図書・学用品・実習材料費等が22.8%、教科外活動費(部活動など)が18.1%、修学旅行費等が16.1%。制服・通学用品と部活動関係が効いてくるのが中学校の特徴です。学校教育費の公私比率は7.5倍でした。

高等学校(全日制)

費目 公立(円) 構成比 私立(円) 構成比
入学金等 18,027 5.1% 80,290 9.6%
授業料 45,272 12.9% 279,170 33.5%
修学旅行費等 36,500 10.4% 62,778 7.5%
学校納付金等 35,630 10.1% 127,346 15.3%
図書・学用品・実習材料費等 62,284 17.7% 73,312 8.8%
教科外活動費 49,499 14.1% 63,440 7.6%
通学関係費 97,634 27.8% 136,790 16.4%
その他 6,677 1.9% 9,524 1.1%
合計 351,523 100% 832,650 100%

公立高等学校でも最多は通学関係費で27.8%。就学支援金の仕組みがあるため授業料の比重は12.9%にとどまります。私立でも授業料は33.5%で、他の学校種ほど突出していません。学校教育費の公私比率は2.4倍と、4つの学校種のなかで最も小さくなっています。

なお、授業料負担を軽くする公的な仕組みは学校段階ごとに用意されています。制度の全体像は「教育費の補助金にはどんな制度がある?幼児から大学まで使える公的支援の全体像」で整理しているので、上の表の授業料を見て負担感が気になった場合はあわせて確認してみてください。

幼稚園から高校卒業までの15年間でいくらかかるか

年間の目安が分かったら、次は累計です。公表資料では、幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間について、各学年の学習費総額を単純合計した金額が示されています。

進路の組み合わせによる4パターンは次のとおりです。

ケース 進路の組み合わせ 15年間の合計(万円)
ケース1 すべて公立 614
ケース2 幼稚園のみ私立、小・中・高は公立 665
ケース3 幼稚園と高等学校が私立、小・中は公立 838
ケース4 すべて私立 1,969

すべて公立なら約614万円、すべて私立なら約1,969万円で、その差は3倍以上です。ただし注目したいのはケース2とケース3の位置です。幼稚園だけ私立にしても合計は約665万円で、全公立との差は約51万円。幼稚園と高校を私立にしても約838万円で、全私立の半分にも届きません。総額を大きく動かすのは私立小学校と私立中学校であることが、この4パターンの並びからはっきり分かります。

学校種・設置者別の15年間合計(各学年の平均年額の単純合計)は次のとおりです。

学校種・設置者 令和3年度(円) 令和5年度(円)
公立 幼稚園 472,746 532,177
私立 幼稚園 924,501 1,038,087
公立 小学校 2,112,022 2,197,261
私立 小学校 9,999,660 10,457,700
公立 中学校 1,616,317 1,626,133
私立 中学校 4,303,805 4,671,589
公立 高等学校 1,544,900 1,784,895
私立 高等学校 3,156,929 3,521,361

2年間の伸びが大きいのは公立高等学校(約15.5%増)と私立中学校(約8.6%増)。逆にほとんど動いていないのが公立中学校(約0.6%増)です。同じ「値上がり」でも段階によって速さが違うので、我が家の子供がこれから通う段階の数字を見るのが実用的です。

学校外活動費は何で動くか

公立では学習費総額の6〜7割を占める学校外活動費は、家庭の状況によって最も振れやすい費目です。公表資料では、学年・世帯年収・地域という3つの切り口で集計されています。

学年で見る

公立では、学校外活動費は中学校第3学年の約44万6千円が最も多くなります。私立では小学校第6学年の約89万1千円が最大です。受験の直前学年で跳ねるという、想像しやすい形になっています。

内訳の動き方も特徴的です。学校外活動費のうち補助学習費(塾・家庭教師・通信教育など)の割合が、その他の学校外活動費(習い事・スポーツ・文化活動など)を上回るのは、公立では小学校第6学年以降、私立では小学校第4学年以降。この学年を境に、支出の中身が「習い事」から「学習」へ入れ替わっていきます。

公立の学年別の補助学習費を追うと、小学校第1学年で約8万1千円、第4学年で約11万7千円、第6学年で約18万7千円、中学校第2学年で約24万9千円、第3学年で約39万円と段階的に増えていきます。高等学校では第1学年でいったん約14万円まで下がり、第3学年で約28万5千円まで戻る形です。中学3年と高校3年の2つの山を見込んでおくと、家計の計画が立てやすくなります。

世帯の年間収入で見る

世帯年収別に学校外活動費を見ると、公立・私立とも、年収が増えるにつれておおむね支出が多くなる傾向が示されています。公立学校の年収帯別の金額は次のとおりです。

世帯の年間収入 幼稚園(万円) 小学校(万円) 中学校(万円) 高等学校(万円)
400万円未満 5.6 15.8 20.3 18.0
400万円〜599万円 7.6 17.1 28.0 15.3
600万円〜799万円 9.0 21.9 30.7 23.8
800万円〜999万円 10.8 29.1 39.8 29.4
1,000万円〜1,199万円 21.0 36.9 48.5 36.0
1,200万円以上 35.3 47.8 55.0 39.5

公立中学校では、年収400万円未満の家庭が約20万3千円なのに対し、1,200万円以上の家庭は約55万円。同じ公立中学校でも2.7倍の開きがあるわけです。冒頭で挙げた「公立中学校は約54万2千円」という平均値は、この幅の中の一点にすぎません。自分の年収帯の行を見るほうが、実感に近い目安になります。

なお公表資料では、サンプルが小さい区分は誤差が大きい点に留意するよう注記されています。特に高い年収帯や幼稚園の区分は、幅をもって見るのが安全です。

地域の人口規模で見る

学校が所在する市区町村の人口規模別に学校外活動費を見ると、人口規模が大きくなるほど、おおむね支出が多い傾向にあることが示されています。塾や習い事の選択肢が多い地域ほど通わせやすい、という現実が数字に出ている形です。地方在住なら平均より低め、都市部なら平均より高めに見積もる、という補正の目安になります。

我が家の目安を出す4ステップ

ここまでの公表値を使えば、全国平均をそのまま当てはめるよりも、我が家に近い年間の目安を自分で組み立てられます。手順は4つです。

ステップ1:進路を決める。 子供が来年度に通う学校種と設置者(公立か私立か)を決め、学習費総額の表から該当する金額を書き出します。まだ決めていない場合は、公立と私立の両方を書き出して幅として持っておきます。

ステップ2:学校に払うぶんと外に払うぶんに割る。 ステップ1の金額を、構成比の表を使って学校教育費・学校給食費・学校外活動費に分けます。前の2つは学校側が決める金額に近く、最後の1つが自分で動かせる部分です。

ステップ3:学校外活動費を自分の条件で置き換える。 平均値ではなく、世帯年収別の表から自分の年収帯の金額を使います。さらに、通わせている塾や習い事が現時点でゼロなら下振れ、受験学年なら学年別の山(公立は中学3年で約44万6千円、私立は小学6年で約89万1千円)に寄せて上振れさせます。地方在住なら少し下げ、都市部なら少し上げます。

ステップ4:入学の年だけ別枠にする。 入学金・入園料、入学検定料、入学時に納付した施設整備費等、制服・通学用品は入学の年に集中します。私立中学校なら入学金等が約11万9千円、私立高等学校なら約8万円が学校教育費に含まれています。入学の年は「通常年+一時金」で見ると、資金繰りの読み違いを防げます。

書き出す欄を用意しておくと迷いません。

項目 参照する表 我が家の金額
学習費総額(平均) 学校種別の学習費総額
うち学校教育費 費目の構成比
うち学校給食費 費目の構成比
学校外活動費(年収帯で置換) 世帯年収別の表
受験学年の上乗せ 学年別の傾向
入学の年の一時金 学校教育費の内訳
年間の見込み合計 —

この4ステップで出た数字は、平均値をそのまま使うより我が家の条件に寄っています。少なくとも「公立中学校は約54万円らしい」で止めるよりは、家計の判断材料として使えるはずです。

この調査を読むときの5つの注意点

最後に、数字を読み違えないための視点を5つ挙げます。筆者がこの調査を読むときに毎回確認している点です。

1. 平均値は「典型的な家庭」ではない。 学習費総額は全国平均です。前述のとおり、公立中学校の学校外活動費は年収帯で2.7倍の開きがあります。平均は幅の中の一点であって、多くの家庭が実際に払っている金額とは限りません。

2. 大学の費用は含まれていない。 この調査の対象は幼稚園・小学校・中学校・高等学校(全日制)です。大学の学費や下宿代は入っていません。解説記事によっては別の調査の大学費用と合算した総額が示されていることがあり、その場合は出典が複数混ざっています。どこまでが本調査の数字かを分けて読む必要があります。

3. 令和3年度に定義が変わっている。 入学金・入園料、入学時に納付した施設整備費等、入学検定料については、実際には入学しなかった学校へ納付した額も含むよう変更されました。学校外活動費には国際交流体験活動の区分が新設され、従来は教養・その他に含まれていた費用が移っています。平成30年度以前との単純比較には注意が必要です。

4. サンプルが小さい区分は誤差が大きい。 公表資料自身が、年収別の集計などで網掛け部分の誤差に留意するよう注記しています。私立小学校は通う児童が全体の1.3%であり、集計対象者数も1,659人です。極端な数字を見たときは、まず区分の規模を確認するのが安全です。

5. 15年間の合計は「単純合計」である。 累計額は各年度における学校種別の各学年の平均年額を単純に足したものです。実際には物価も制度も変わりますし、一人の子供が15年間この平均どおりに支出するわけでもありません。将来の必要額の予測ではなく、規模感をつかむ数字として扱うのが適切です。

この5点を踏まえると、この調査の使いどころは「我が家の予算を決める」ことではなく、自分の見積もりが常識的な範囲に入っているかを照合することだと分かります。

家計での備え方を考える

目安が見えてきたら、次は家計での備え方です。ポイントは、「いつ・どのくらい必要になりそうか」を早めに見取り図として持っておくことです。学年別の傾向で見たとおり、中学3年と高校3年、そして入学の年に支出が集中しやすいため、日々の家計管理と将来の準備を分けて考えると整理しやすくなります。

とはいえ、何から手をつければいいか迷う場合も多いはずです。そんなときは、家計と教育費の考え方をまとめた本で、我が家に合った「かけ方」の型を知っておくと動きやすくなります。


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上の本は、家計の状況に合わせて子育て・教育費のかけ方を考えるための一冊です。「いくらかかるか」だけでなく「我が家ならどう備えるか」に踏み込みたい人が、最初の見取り図をつくるのに向いています。

教育費だけでなく、老後も含めたお金の不安をまとめて整理したい場合は、こちらのような入門書もあります。

「難しいお金の話は苦手」という人向けに、肩の力を抜いて家計とお金の貯め方を学べる内容です。教育費の準備を、家計全体の中でどう位置づけるかを考えたいときの入り口になります。

もう少し教育費そのものに焦点を当てて備えを考えたいなら、次のような教育費専門の解説書も参考になります。


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公立の小中学校で発生する費用を具体的に検証した内容で、「公立なら安心」と考えている家庭が見落としがちな出費を確認するのに向いています。学習費調査の数字と合わせて読むと、教育費のイメージがより立体的になります。

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教育費と奨学金の仕組みを通しで解説した一冊です。制度の種類や申し込みの流れを先に知っておくと、いつまでにいくら自前で用意するかの逆算がしやすくなります。奨学金の種類そのものについては「JASSOの奨学金にはどんな種類がある?給付・第一種・第二種の違いと選び方」でも整理しています。

よくある質問

子供の学習費調査は誰が、どのくらいの頻度で実施しているのですか?

文部科学省が統計法に基づいて実施している一般統計調査で、平成6年から隔年(2年ごと)に行われています。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となりましたが、令和3年度から改めて隔年で実施されています。現在公表されている最新の結果は令和5年度のものです。

学習費総額には何が含まれますか?

学校教育費、学校給食費、学校外活動費の3つを合計したものが学習費総額です。授業料や入学金といった学校に直接払う費用だけでなく、通学費・制服・通学用品費、さらに塾や家庭教師、習い事の費用まで含まれています。一方で、家族旅行や子供の食費・被服費など、教育に直接ひもづかない生活費は含まれません。

大学の学費も分かりますか?

分かりません。この調査の対象は幼稚園・小学校・中学校・高等学校(全日制)に限られます。大学の学費や下宿代を知りたい場合は、別の調査を参照する必要があります。教育費の解説記事で「幼稚園から大学まで◯◯万円」と書かれているものは、複数の出典を合算していると考えてください。

私立と公立でいちばん差が大きいのはどの段階ですか?

学習費総額の公私比率で見ると、小学校が最も大きく、私立は公立の約4.8倍です。次いで中学校が約2.9倍、高等学校が約2.0倍、幼稚園が約1.9倍と続きます。学校教育費だけで比べると小学校は約13.2倍まで開きます。差の中心は授業料と学校納付金等です。

記事の金額をそのまま我が家の予算にしてよいですか?

おすすめしません。記事の金額は全国平均です。学校外活動費は世帯年収帯で2倍以上の開きがあり、学年によっても大きく動きます。前述の4ステップのように、平均値を出発点にして年収帯・学年・地域で置き換えたほうが、実態に近い見込みになります。

前回の調査からどのくらい増えましたか?

令和3年度と令和5年度を比べると、8つの区分(公立・私立×4学校種)すべてで学習費総額が増えています。15年間の合計で見ると、伸び幅が大きいのは公立高等学校(約15.5%増)と私立中学校(約8.6%増)、小さいのは公立中学校(約0.6%増)でした。

参照した公式情報(取得日)

いずれも2026年9月6日に確認しています。金額や公表年度は更新される可能性があるため、実際に使うときは最新版をご確認ください。

まとめ

令和5年度の「子供の学習費調査」から分かることを、あらためて整理します。

  • 年間の学習費総額は、公立が幼稚園で約18万5千円、小学校で約36万7千円、中学校で約54万2千円、高等学校で約59万7千円。私立はそれぞれ約34万7千円、約174万2千円、約156万円、約117万9千円です
  • 公私の差が最も大きいのは小学校(約4.8倍)で、最も小さいのは高等学校(約2.0倍)です
  • 公立は学習費総額の6〜7割が学校外活動費で、私立は7割前後が学校教育費。公立は家庭の選択で振れ、私立は入学時点でおおよそ決まるという構造の違いがあります
  • 学校外活動費は受験学年で跳ね、世帯年収帯で2倍以上の開きがあります。平均値ではなく自分の年収帯・学年で読むのが実用的です
  • 幼稚園3歳から高校卒業までの15年間は、すべて公立なら約614万円、すべて私立なら約1,969万円。総額を大きく動かすのは私立小学校と私立中学校です

大切なのは、平均値を「我が家の予算」と決めつけず、どの段階で何にお金がかかりやすいかの流れを知る地図として使うことです。目安が見えたら、中学3年・高校3年・入学の年という支出が集中するタイミングを念頭に、家計での備え方を早めに考え始めておくと安心につながります。

最新の金額や項目別の内訳は、必ず文部科学省・e-Statの公式でご確認ください。

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