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TOEIC対策の定番として名前が挙がる単語帳「金のフレーズ」。買ってはみたものの、前半で止まってしまった、赤シートで隠しても翌日には忘れている——そんな声はとても多いです。
つまずきの原因は、覚える力が足りないことではありません。単語帳の回し方が、TOEICの出方に合っていないだけです。金のフレーズは「1周でじっくり覚える本」ではなく、「何周も高速で回して定着させる本」として作られています。
この記事では、金のフレーズの使い方を、構成の理解 → 1周目の進め方 → 周回スケジュール → 音声の使い方 → レベル別の調整、の順にまとめます。今日から手を動かせる形にしていきましょう。
金のフレーズはどんな構成の単語帳?
使い方を決める前に、この本の作りを押さえておくと迷いが減ります。著者はTEX加藤さん、出版元は朝日新聞出版で、2026年1月に増補改訂版が出ています(出典:国立国会図書館サーチ/朝日新聞出版)。
構成の特徴は次の3点です。
| 特徴 | 内容 | 使い方への影響 |
|---|---|---|
| 目標スコア別の4レベル | 600点/730点/860点/990点の順に並ぶ | 自分の目標より上は後回しにできる |
| フレーズ単位の掲載 | 単語ではなく短い英語フレーズで載る | 音読・音声と相性がよい |
| 赤シート+アプリ音声 | 訳を隠して確認、音声はスマホアプリに対応 | スキマ時間に回しやすい |
大事なのはレベル別に並んでいることです。TOEICは全問マークシート方式で、リスニングとリーディングを合わせて200問を約2時間で解きます(リスニング約45分・リーディング75分/出典:IIBC公式)。この分量を時間内にさばくには、「知っている語を増やす」より「反応が速い語を増やす」ほうが効きます。だからこそ、目標スコアの範囲に絞って何度も回す使い方が向いているのです。
まずは手元の一冊を、最新の増補改訂版で揃えておくと、最近の出題傾向に沿った語彙で回せます。
金のフレーズの使い方の基本と周回スケジュール
1周目は「速く・浅く・何度も」を合言葉に
いちばん多い失敗が、1周目から完璧に覚えようとすることです。1ページに時間をかけると、最後のページに着く頃には最初のページを忘れています。これでは「1周やった」という記録だけが残ります。
おすすめは、次の進め方です。
- 1語あたり数秒で、日本語訳を見て意味が浮かぶかだけを確認する
- 浮かんだら○、あやふやなら△、まったく出てこなければ×と、その場で仕分ける
- 迷っても立ち止まらず、次へ進む
- 1周終わったら、×と△だけをもう一度回す
この方式なら、1周目は「知らない語を洗い出す作業」に変わります。覚えるのは2周目以降でよく、回数を重ねるほど×は減っていきます。負担が軽いぶん、途中で挫折しにくくなるのも利点です。
もうひとつのコツは、フレーズごと読むことです。金のフレーズは英単語が短い文脈に埋め込まれた形で載っています。単語だけを切り出して覚えると、本番で語順や相性のよい語(コロケーション)が思い出せません。フレーズのまま口に出しておくと、読解中に意味のかたまりとして目に入ってきやすくなります。
このあたりの「覚えたのに使えない」問題は、TOEICで単語を覚えても点数が上がらないときの立て直し方でも詳しく整理しています。単語学習が空回りしている自覚がある方は、あわせて読んでみてください。
4週間で5周する周回スケジュールの組み方
「何周すればいいですか」という質問には、回数より期間で区切る答えが実用的です。試験日から逆算し、4週間のうちに5周する形をひとつのモデルとして紹介します。
| 周 | 目的 | 1日の目安 | 進め方 |
|---|---|---|---|
| 1周目 | 知らない語の洗い出し | 100語前後 | ○△×を付けるだけ。訳を見て即判断 |
| 2周目 | ×と△を潰す | 60〜80語 | 訳を隠して確認。フレーズを1回音読 |
| 3周目 | 定着の確認 | 100語前後 | ○も含めて全体を高速で確認 |
| 4周目 | 残った×の集中処理 | 40〜60語 | ×だけ。書き出す・声に出すを併用 |
| 5周目 | 直前の総ざらい | 150語以上 | 赤シートで一気に流す |
1日の目安がばらつくのは、周が進むほど1語にかかる時間が短くなるからです。1周目は判断だけなので意外と進み、4周目は残った難所だけなので語数が減ります。
平日にまとまった時間が取れない場合は、朝10分・通勤中10分・寝る前10分のように分割して構いません。単語は接触回数がものを言うので、1日30分を3回に割ったほうが定着しやすくなります。
なお、単語だけを回し続けても点数は動きにくいです。並行して公式教材で本番形式に触れておくと、覚えた語が「見たことのある形」で出てきて、記憶が強化されます。教材選びはTOEIC公式問題集の最新版と番号の違いにまとめてあります。
フレーズごと音読する|音声の使い方
金のフレーズはスマホアプリで音声を聞ける仕様になっています。この音声を使うかどうかで、伸び方はかなり変わります。
理由はシンプルで、TOEICの半分はリスニングだからです。目で見て意味が分かる語でも、音で流れてきた瞬間に判別できなければ、Part3やPart4では役に立ちません。文字だけで覚えた語は、その「見れば分かるが聞くと分からない」状態になりやすいのです。
音声の使い方は、次の3段階で考えると迷いません。
- 段階1:聞き流し — 通勤・家事・散歩の最中に、その日回した範囲を流す。意味を思い出せればOK
- 段階2:重ね読み — 音声のすぐ後に続けて、同じフレーズを声に出す。速度に置いていかれない範囲で
- 段階3:シャドーイング — 音声とほぼ同時に追いかけて読む。リズムと発音に慣れる
段階1だけでも効果はありますが、口に出す段階まで進めると、リスニングでの反応速度が上がりやすくなります。声を出しにくい環境では、口の形だけ動かす「小声読み」で代用できます。
覚える段階では、訳を見て英語が出てくるかより、英語を見て(聞いて)意味が浮かぶかを優先してください。TOEICは英作文のない試験なので、認識できれば得点につながります。
レベル別の使い分けと、伸び悩んだときの見直し
金のフレーズはスコア帯で並んでいるので、いま自分がどこにいるかで使い方を変えられます。
| 現在のスコア | 進め方の目安 |
|---|---|
| 600点未満 | 前半のレベルだけを繰り返す。基礎語に穴があるなら「銀のフレーズ」から入るほうが早い |
| 600〜730点 | 前半から中盤を中心に。後半は目を通す程度でよい |
| 730〜860点 | 全体を回しつつ、後半のレベルに時間を厚く配分する |
| 860点以上 | 後半のレベルと、巻末の補足パート(設問文の表現・多義語など)を重点的に |
とくに600点未満の段階では、金のフレーズの語がそもそも難しく感じて手が止まりがちです。その場合は無理に続けず、基本語を集めた「銀のフレーズ」を先に1〜2周してから戻ると、進みが軽くなります。銀のフレーズは中学〜高校前半レベルの基礎語からTOEIC頻出語までを扱っていて、金のフレーズへの橋渡しとして使いやすい一冊です。
回しているのにスコアが動かないときは、次の3点を点検してみてください。
- 1周に時間をかけすぎていないか — 1周に1か月かかると、忘却が定着に追いつきません
- 目標より上のレベルに手を出していないか — 600点目標で990点レベルを覚えても、出題頻度が低く回収しにくいです
- 単語だけになっていないか — 文法や読解の演習と並行しないと、語彙は得点に変換されません
スコアの停滞は単語以外に原因があることも多いので、TOEICが勉強しても点数が上がらないときの5つの原因もあわせて確認しておくと、対策の的を外しにくくなります。
3点目の「文法の演習」を組み合わせるなら、同じく周回で仕上げる問題集が相性のよい相棒になります。進め方はでる1000問を3周で仕上げる進め方にまとめました。
よくある質問
Q. 結局、何周すればいいですか?
回数そのものより、試験日までに「×が残っていない状態」を作れているかが基準です。目安としては4〜5周ですが、間隔を空けずに回すほうが少ない周回でも定着しやすくなります。
Q. 書いて覚えたほうがいいですか?
全語を書き写すのは時間対効果が下がりやすいです。何周しても覚えられない×の語だけ、書く・声に出すなど手数を増やして処理するのが現実的です。
Q. アプリの音声だけで完結できますか?
音声は補助として非常に有効ですが、赤シートで訳を隠して確認する作業と組み合わせたほうが、抜けを見つけやすくなります。移動中は音声、机では紙、と役割を分けるのがおすすめです。
Q. 古い版が家にあります。買い替えるべきですか?
手元にあるなら、まずはそれを回して構いません。ただし増補改訂版は最近の出題傾向に合わせて語が入れ替えられているため、これから買うなら新しい版のほうが安心です。
Q. 公式問題集や文法書と、どう並行すればいいですか?
単語は毎日の固定枠(10〜30分)、演習は週末などのまとまった枠、と時間帯で分けると両立しやすくなります。単語だけの日を作らないのがコツです。
まとめ:回した回数だけ定着する
金のフレーズの使い方は、次の3点に集約されます。
- 1周目は仕分けに徹する — ○△×を付けて、立ち止まらずに走り切る
- 短い間隔で何周も回す — 4週間で5周など、期間で区切って計画する
- フレーズごと音で覚える — 聞いて意味が浮かぶ状態まで持っていく
じっくり1周より、雑でもいいから5周。この発想に切り替えるだけで、同じ本でも定着の実感が変わってきます。まずは今日、最初の100語に○△×を付けるところから始めてみてください。


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