読書感想文におすすめの本|小学生の学年別の選び方と2026年課題図書

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読書感想文におすすめの本|小学生の学年別の選び方と2026年課題図書

夏休みの宿題のなかでも、読書感想文は「まず本を選ぶ」ところで手が止まりがちです。書店の児童書コーナーに行っても平積みの本が多すぎて決められない、図書館で借りてみたものの数ページで閉じてしまった——そんな状態から抜け出すには、感覚ではなく手順で選ぶのがいちばん確実です。

この記事では、青少年読書感想文全国コンクールの応募規定にある「本文の字数」から逆算して、学年ごとに無理のない本の分量を決める方法を示します。そのうえで、2026年(第72回)の課題図書12冊の書名、学年別・タイプ別のおすすめ、書店や図書館で5分で使えるチェックシートまでをまとめました。

本選びの正解は「有名な本」ではなく、お子さんが最後まで読み切れて、心が動いた場面を自分の言葉で説明できる本です。その一冊にたどり着くための道筋を、上から順にたどれるように並べています。

  1. 結論|小学生の本選びは「読める分量・好きな題材・心が動く場面」で決まる
    1. 学年別の早見表
  2. 学年別|読書感想文におすすめの本と選び方
    1. 小学1・2年生(低学年)|800字は「場面ひとつ」で埋まる
    2. 小学3・4年生(中学年)|1,200字は「変化のある物語」で埋まる
    3. 小学5・6年生(高学年)|考えが残る物語とノンフィクション
  3. 2026年(第72回)の課題図書から選ぶ
    1. 小学校低学年の部(1・2年生)
    2. 小学校中学年の部(3・4年生)
    3. 小学校高学年の部(5・6年生)
    4. 課題図書と自由読書、どちらを選ぶか
  4. タイプ別|本が苦手な子・物語に興味がない子の一冊
    1. 長い本が読めない
    2. 物語より事実に興味がある
    3. 読む本がすぐ決まらない
  5. 筆者の判断基準|この記事で本を選んだ5つの基準
  6. 書店・図書館で5分|本選びチェックシート7項目
  7. 選んではいけない本の4パターン
  8. 本が決まったら|感想文を書き切る手順と親のかかわり方
    1. 読みながら心が動いた場面に付せんを貼る
    2. 書く前に話す|言葉を引き出す7つの質問
    3. 字数と構成の目安
  9. 紹介した本の比較表
  10. よくある質問
    1. Q. 何ページくらいの本を選べばいいですか?
    2. Q. 課題図書と自由読書、どちらが有利ですか?
    3. Q. 子どもが本を読みたがりません。
    4. Q. 親はどこまで手伝っていいですか?
    5. Q. マンガや図鑑でもいいですか?
    6. Q. 本は買うのと借りるのと、どちらがいいですか?
  11. 参照した公式情報(取得日)
  12. まとめ

結論|小学生の本選びは「読める分量・好きな題材・心が動く場面」で決まる

先に結論を書きます。小学生の読書感想文の本選びで見るべき条件は3つだけです。

  1. 読める分量か(最後まで読み切れる文字量・ページ数か)
  2. 好きな題材か(お子さんが自分から続きを知りたくなるテーマか)
  3. 心が動く場面があるか(うれしい・くやしい・こわい・意外だった、と言える場面があるか)

このうち、いちばん軽視されがちなのが1つめの「分量」です。分量が合っていない本を選ぶと、そもそも読み終わらないので、2と3を判断する土俵にすら上がれません。

分量の目安は、感覚ではなくコンクールの応募規定から逆算できます。青少年読書感想文全国コンクールの応募要項では、本文の字数が部門ごとに次のように定められています(句読点は1字、改行の空白も字数に含みます)。

部門 学年 本文の字数 原稿用紙(400字詰)
小学校低学年の部 1・2年生 800字以内 およそ2枚
小学校中学年の部 3・4年生 1,200字以内 およそ3枚
小学校高学年の部 5・6年生 1,200字以内 およそ3枚
中学校の部 中学生 2,000字以内 およそ5枚
高等学校の部 高校生 2,000字以内 およそ5枚

学校の宿題として書く場合も、多くは同じような枚数指定になっています。ここから逆算すると、必要な本の条件が具体的になります。

  • 800字は、心が動いた場面を1つ選んで深掘りすれば埋まります。だから低学年は「印象的な場面が1つはっきりある短い本」で十分です
  • 1,200字は、場面を1つ書くだけでは薄くなります。登場人物の考えや行動が途中で変わる本=変化のある物語だと、「前」「後」「自分ならどうするか」の3段で自然に埋まります

つまり、低学年は「場面が1つある本」、中学年・高学年は「変化がある本」という基準が先にあり、書名はそのあとに決まります。この順番を逆にすると、話題の本を用意したのに書けない、という失敗が起きます。

学年別の早見表

学年 応募する部門 本文の字数 本の分量の目安 向いている題材
1年生 低学年の部 800字以内 絵本〜40ページ前後の読み物 家族・動物・身近な発見
2年生 低学年の部 800字以内 60〜80ページ程度の読み物 友だち・学校・なぞ解き
3年生 中学年の部 1,200字以内 100ページ前後の物語 冒険・ちょっとした事件
4年生 中学年の部 1,200字以内 130ページ前後の物語 挑戦・失敗・仲間
5年生 高学年の部 1,200字以内 150〜200ページの物語 人間関係の変化・社会
6年生 高学年の部 1,200字以内 200ページ以上も可 生き方・進路・異文化

ページ数はあくまで目安です。同じ4年生でも、読書に慣れている子とそうでない子では読める量がまったく違います。全国学校図書館協議会の学校読書調査(第70回・2025年)では、小学生が5月の1か月間に読んだ本は平均12.1冊、1冊も読まなかった子の割合(不読率)は9.6%でした。同じ学年のなかにも大きな幅があるという前提で、目の前のお子さんに合わせて調整してください。

学年別|読書感想文におすすめの本と選び方

ここからは学年別に、選び方の基準と具体的な本を紹介します。紹介する本は、上の3条件(分量・題材・心が動く場面)に照らして選びました。

小学1・2年生(低学年)|800字は「場面ひとつ」で埋まる

低学年の本選びで優先するのは、最後まで読み切れることです。800字は原稿用紙2枚ほどなので、印象に残った場面が1つあれば書けます。逆に、場面がたくさんある長い物語を選ぶと、どこを書けばいいのか分からなくなって手が止まります。

低学年向けに確認したい点は次のとおりです。

  • 文字が大きく、ふりがながふってある
  • 見開きに文字がぎっしり詰まっていない(挿絵で区切られている)
  • 1話が短い、または章ごとに区切りがある
  • 主人公の年齢がお子さんに近い

「読書が苦手で長い本は無理」というお子さんには、なぞ解きの本が向いています。ぼくはめいたんてい きえた犬のえは、犬の絵が消えたなぞを主人公が追いかける新装版の児童書です。先が気になる展開なので、読むこと自体が目的ではなく「犯人を知りたい」という動機で読み進められます。

読み終えたら「どこでなぞが解けたと思った?」と聞いてみてください。この一言で、感想文の中心にする場面がほぼ決まります。

もっと短い区切りがよい場合は、1話完結の物語が向いています。ふくろうくんは、アーノルド・ローベルによる短い話が集まった読み物です。1話ずつ独立しているので、「いちばん好きだった話」を1つ選んでその理由を書く、という形にそのまま持ち込めます。

低学年で「1冊まるごと読み切れた」という経験は、その後の読書のハードルを大きく下げます。分厚い本に挑ませるより、薄い本を読み切らせるほうが結果的に近道です。

小学3・4年生(中学年)|1,200字は「変化のある物語」で埋まる

中学年になると字数が1,200字に増えます。場面を1つ書くだけでは足りないので、登場人物の気持ちや行動が物語のなかで変わる本を選ぶのがポイントです。変化があれば「はじめはこうだった」「こんなことがあって」「終わりにはこう変わった」という骨組みができ、そこに自分の経験を重ねられます。

中学年で確認したい点は次のとおりです。

  • 主人公が最初と最後で変わっている(勇気を出す・考えを改める・関係が変わる)
  • 章立てがあり、1日で読む量を区切れる
  • 会話文が多く、気持ちが読み取りやすい
  • 100〜150ページ程度で、5〜7日で読み終えられる

冒険物語が好きなお子さんには、エルマーのぼうけんのセットが向いています。全3冊がつながった物語で、主人公が知恵と工夫で困難を切り抜けていきます。「自分だったらどうするか」を考えやすいので、感想文で書く材料に困りません。

3冊あるので、1冊目で「合わない」と分かればそこで止められますし、はまれば続きを読む楽しみが残ります。読書感想文としては1冊目だけを対象にしても構いません。

なぞ解きや推理が好きな中学年には、放課後ミステリクラブ 3 動くカメの銅像事件のような小学生向けミステリーもよい選択です。事件を追う過程で登場人物が考えを組み立て直すので、「どの手がかりで気づいたか」「自分ならどこで間違えたか」という形で書けます。

ジャンルがはっきりしている本は、お子さん自身が「これを読みたい」と選びやすいという利点もあります。親が渡した本より、自分で選んだ本のほうが最後まで読める確率は上がります。

小学5・6年生(高学年)|考えが残る物語とノンフィクション

高学年も字数は1,200字ですが、求められる中身が変わります。「おもしろかった」で終わらず、読んだあとに自分の考えが残る本が向いています。人間関係の変化、社会の問題、生き方の選択といったテーマを扱う本だと、感想が意見に育ちます。

高学年で確認したい点は次のとおりです。

  • テーマが一言で言える(友情・差別・戦争・環境・進路など)
  • 主人公が迷い、選択している
  • 自分の生活や学校のできごとと結びつけられる
  • 200ページ前後でも、興味が続けば読み切れる

考えが残る物語の代表格がモモです。ミヒャエル・エンデによるファンタジーで、大島かおりさんの訳、岩波少年文庫の409ページの1冊です。「時間に追われる」という現代の問題を子どもの目線で描いているので、習い事や宿題に追われる高学年の実感と重なります。

分量はありますが、章ごとに区切って読めば10日ほどで読み終えられます。「時間を奪われるとはどういうことか」を自分の生活に置き換えて書くと、字数は自然に埋まります。

読む力はあるけれど長い物語に興味が持てない、というお子さんには短編集が向いています。きまぐれロボットは星新一によるショートショート集で、1話が数ページで完結します。全部読んでから「いちばん怖かった話」「いちばん意外だった話」を選び、その理由を掘り下げる形にできます。

短編集は「1冊読み切った」という達成感も得やすく、読書量そのものが少ないお子さんの入り口としても使えます。

2026年(第72回)の課題図書から選ぶ

「せっかくなら課題図書で」と考えるご家庭も多いはずです。課題図書とは、青少年読書感想文全国コンクールの主催者が部門ごとに指定した図書のことで、毎年入れ替わります。2026年(第72回)の小学校3部門の課題図書は、公式サイトで次のように公表されています。

小学校低学年の部(1・2年生)

書名 著者 出版社
まこちゃんとコトバロボ 村上しいこ 作/たんじあきこ 絵 佼成出版社
なにかいいことあった? ミーシャ・アーチャー 作/石津ちひろ 訳 BL出版
ララのまほうのことば グレーシー・ジャン さく/やのあやこ やく 工学図書
たねはいのちのおわりとはじまり 鈴木純 著 ブロンズ新社

低学年の部は絵本を中心とした構成で、どれも1日で読み終えられる分量です。4冊まとめて手元に置いて、お子さんに選ばせるという方法もあります。


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4冊あると「どれが好きだったか」を比べられるので、選んだ理由そのものが感想文の書き出しになります。1冊だけ用意するより、選ぶ余地を残すほうが子どもは前向きに取り組みます。

小学校中学年の部(3・4年生)

書名 著者 出版社
まだまだここから 宇佐美牧子 作/酒井以 絵 ポプラ社
それからぼくはひとりで歩く アリシア・モリーナ 作/星野由美 訳/犬吠徒歩 絵 ほるぷ出版
おいしいお米をつくりたい! ゆうちゃん、小学生で農家に弟子入りしました 谷本雄治 著 汐文社
宇宙でウンチ みんなの知らない宇宙トイレのひみつ A.ボンドー=ストーン、C.ホワイト 作/L.ケンセス 絵/千葉茂樹 訳 あすなろ書房

中学年の部は、物語が2冊、ノンフィクションが2冊という構成です。物語が苦手なお子さんでも選べる幅があります。

なかでも宇宙でウンチ みんなの知らない宇宙トイレのひみつは、A4変判・32ページの絵本で、宇宙空間でトイレをどうするかという身近で意外なテーマを扱っています。物語よりも事実に興味があるタイプのお子さんに向いています。

ノンフィクションの感想文は「知らなかったこと」「それを知って自分の考えがどう変わったか」を書けば形になります。物語のように登場人物の気持ちを推し量る必要がないぶん、書きやすいと感じる子もいます。

小学校高学年の部(5・6年生)

書名 著者 出版社
ポジション! 高田由紀子 作 岩崎書店
リヒト! イノウエミホコ 作 文研出版
ミシュカ エドワルト・ファン・デ・フェンデル、アヌッシュ・エルマン 作/アネット・スカープ 絵/野坂悦子 訳 静山社
キミの一歩アフリカ ゾウを食べるにはひと口ずつ 味田村太郎 文 あかね書房

高学年の部は、国内の物語、翻訳作品、ノンフィクションがそろっています。リヒト!は文研出版の文研ステップノベルの1冊で、比較的読みやすい体裁の物語です。


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課題図書は夏に品薄になりやすく、図書館では予約が集中します。取り組むと決めたら早めに手配しておくと安心です。

課題図書と自由読書、どちらを選ぶか

コンクールには「課題読書」と「自由読書」の2つの区分があり、どちらで応募しても構いません。判断の目安は次のとおりです。

課題図書が向いているケース

  • 何を読むか決められず、選ぶ段階で止まっている
  • 学校が課題図書を推奨している、または学級で取り組む
  • 読む本の質を自分で判断する自信がない

自由読書が向いているケース

  • 好きなジャンルがはっきりしていて、読みたい本がある
  • 課題図書を読んでみたが、まったく気持ちが動かなかった
  • 読書に慣れていて、分量の心配がない

課題図書は選定された作品なので内容の質は安定していますが、お子さんの興味と合うかどうかは別の問題です。読んで気持ちが動かなければ感想文は書けません。実際に数ページ読ませてから決めるのが確実です。

タイプ別|本が苦手な子・物語に興味がない子の一冊

学年で区切ってもうまくいかない場合は、タイプで選び直します。

長い本が読めない

長さが原因の場合は、1話が短い本に切り替えます。短編集、1話完結のシリーズ、なぞ解きの短い読み物などです。感想文は「いちばん心に残った1話」について書けば成立するので、全部を均等に理解する必要はありません。

「読み切れなかった」という経験を重ねると、本そのものを避けるようになります。分量を落とすことは妥協ではなく、次につながる選択です。

物語より事実に興味がある

物語に感情移入できないお子さんには、ノンフィクション・科学読み物・伝記が向いています。仕組みや理由が分かることに面白さを感じるタイプなので、「知らなかったこと」を軸に書けます。

読書感想文というと物語を読むものだと思われがちですが、事実を扱った本でも問題ありません。中学年の課題図書にノンフィクションが2冊入っていることからも、選択肢として認められていることが分かります。

読む本がすぐ決まらない

迷って動けないときは、複数冊が入ったセットを手元に置いて選ばせる方法があります。読み比べる前提なら「選ぶ」という行為自体が楽しくなり、読み始めるまでの時間が短くなります。

10歳までに読みたい世界名作の第1期は、名作を小学生向けに読みやすく編んだ既8巻のシリーズです。横山洋子さんの監修で、低学年から中学年が対象です。

名作は「あらすじが有名」という利点があり、読む前から内容の見当がつくため取りかかりのハードルが下がります。ただし、あらすじを知っているだけでは感想文は書けないので、必ず本文を読ませてください。

筆者の判断基準|この記事で本を選んだ5つの基準

紹介する本を選ぶにあたって、次の5つの基準を使いました。判断の物差しを公開しておくので、ここに載っていない本を選ぶときにも使ってください。

  1. 応募規定の字数から逆算した分量であること。低学年は場面が1つある短い本、中学年以上は変化のある物語、という対応を崩していません
  2. 読み切るまでの日数が見通せること。1日20分程度の読書で1週間から10日で終わる分量を上限の目安にしています
  3. 語彙の負荷が学年に合っていること。ふりがなの有無、会話文の比率、1文の長さを確認しています
  4. 子どもの経験と重なる余地があること。友だち関係、家族、時間に追われること、知らない世界への興味など、日常と接続できるテーマを優先しました
  5. 入手しやすいこと。取り寄せに時間がかかる本は、夏休みの宿題という締め切りのある用途には向きません

逆に、基準にしなかったものも明記しておきます。

  • 受賞歴や知名度だけを理由にしていません(大人にとっての名作が、子どもにとって書きやすい本とは限らないためです)
  • 価格の安さで順位をつけていません(分量と内容が合っていることが優先だからです)
  • 「感動できる」といった読後感の断定はしていません(何に心が動くかは子どもによって違うためです)

なお、本記事で紹介した本の価格・在庫は楽天市場の商品データを取得した時点のものです。書名・著者・出版社は、コンクール公式サイトおよび出版社の表記に基づいています。

書店・図書館で5分|本選びチェックシート7項目

本を手に取ってから買う・借りるまでのあいだに、次の7項目を確認してください。全部で5分もかかりません。3つ以上「いいえ」がついたら、その本は今回は見送ります。

# 確認すること 見るところ
1 見開きの文字量は多すぎないか 本を開いて、文字が詰まって見えないか
2 ふりがなは十分か 知らない漢字に読みがなが付いているか
3 挿絵や章の区切りがあるか 100ページ以上なら章立ての有無を確認
4 最初の3ページを詰まらずに読めるか その場でお子さんに音読させる
5 登場人物が多すぎないか 主要人物が5人以内かどうか
6 読み切るのに何日かかるか 1日に読めるページ数×日数で逆算する
7 「どんな話?」に子どもが答えられるか 表紙と裏表紙のあらすじを見て予想させる

項目4がいちばん重要です。最初の3ページを声に出して読めない本は、黙読でも最後まで読めません。書店なら立ち読み、図書館ならその場で試せます。

図書館を使う場合は、司書に相談するのも有効です。学年と「こういう話が好き」という条件を伝えれば、蔵書のなかから候補を出してもらえます。買う前に借りて試せば、合わなかったときの負担もありません。

選んではいけない本の4パターン

避けたほうがよい選び方も整理しておきます。よくある失敗はこの4つに集約されます。

1. 受賞歴や知名度だけで選ぶ

賞をとった本は内容の質が高いのは確かですが、お子さんの読む力や興味と合うかは別の話です。「有名だから」で選ぶと、読めない・書けないという二重の壁にぶつかります。

2. シリーズの途中の巻を選ぶ

人気シリーズは巻数が多く、書店に並んでいるのが途中の巻ということがあります。前提となる人間関係が分からないまま読むと、内容がつかめません。シリーズものは最初の巻から入るか、1話完結のものを選びます。

3. 映像を先に見た作品を選ぶ

アニメや映画を見た作品は取っつきやすい反面、感想が映像の記憶と混ざりやすく、「本を読んで何を感じたか」が書きにくくなります。どうしても選ぶなら、映像と本で違った部分を書く、という方針を先に決めておきます。

4. 大人が読ませたい本を選ぶ

「これくらいは読んでおいてほしい」という気持ちで渡した本は、子どもにとっては課題です。読む動機が生まれないので、途中で止まります。本人が選んだ本のほうが、最後まで読み切る確率は高くなります。

本が決まったら|感想文を書き切る手順と親のかかわり方

本選びが終われば半分は終わりです。残りの半分は、読みながら材料を集めることで解決します。

読みながら心が動いた場面に付せんを貼る

読み終えてから「どこがよかった?」と聞いても、細かい場面は忘れています。読んでいる最中に、心が動いたページへ付せんを貼らせてください。うれしい・くやしい・こわい・意外だった、のどれかを感じたら貼る、というルールにすると分かりやすくなります。

低学年なら3〜5枚、中学年以上なら5〜8枚が目安です。多すぎると選べなくなるので、上限を決めておくとうまくいきます。

書く前に話す|言葉を引き出す7つの質問

原稿用紙に向かう前に、口で答えさせます。次の7つの質問を順番に投げると、感想文の骨組みがそのまま出てきます。

  1. どんな話だった?(3文以内で)
  2. いちばん心に残った場面はどこ?
  3. その場面で、主人公はどんな気持ちだったと思う?
  4. きみだったら、そこでどうした?
  5. 自分にも似たことがあった?
  6. 読む前と読んだあとで、考えが変わったことはある?
  7. この本を友だちにすすめるとしたら、なんて言う?

答えをメモしておき、順番を並べ替えれば下書きになります。親の役割は、答えを教えることではなく質問することです。大人の言葉を書き写した感想文は、読めばすぐに分かりますし、お子さんの力にもなりません。

字数と構成の目安

構成は、低学年なら「選んだ理由 → いちばん心に残った場面 → そこで思ったこと」の3つで800字に届きます。中学年・高学年は、そこに「自分の経験との重なり」と「これからどうしたいか」を足して1,200字を組み立てます。

コンクールに応募する場合は、原稿用紙に縦書きで自筆する必要があり、パソコンやワープロでの印字は認められていません。応募は学校を通じて行うのが原則です。学校の宿題として提出するだけの場合も、書式は学校の指示に従ってください。

書く時間が足りないときの進め方は、小学生の読書感想文を早く終わらせる方法で1日で仕上げる手順を紹介しています。受験学年で時間が取れない場合は、中学受験で読書感想文の時間がない…短時間で書き上げるコツもあわせてご覧ください。

紹介した本の比較表

紹介した本を、対象学年と向いているタイプで整理します。

本 価格 目安の学年 向いているタイプ
ぼくはめいたんてい きえた犬のえ 新装版 1,730円 1・2年生 なぞ解きが好き/長い本が苦手
ふくろうくん 1,460円 1・2年生 1話完結で読みたい
エルマーのぼうけん セット全3冊 5,290円 2〜4年生 冒険物語が好き
放課後ミステリクラブ 3 動くカメの銅像事件 2,150円 3・4年生 推理・謎解きが好き
モモ 岩波少年文庫 1,290円 5・6年生 考えが残る物語を読みたい
きまぐれロボット 角川つばさ文庫 1,420円 5・6年生 短編集で読み切りたい
第72回 課題図書 小学校低学年向けセット 全4冊 6,930円 1・2年生 課題図書から選びたい
宇宙でウンチ みんなの知らない宇宙トイレのひみつ 1,650円 3・4年生 事実・科学に興味がある
リヒト! 2,640円 5・6年生 課題図書から選びたい
10歳までに読みたい世界名作 第1期 既8巻 7,744円 1〜4年生 名作から選ばせたい

※価格は取得時点のものです。在庫や価格は変わることがあります。

よくある質問

Q. 何ページくらいの本を選べばいいですか?

A. 学年よりも「1日に読めるページ数×使える日数」で決めてください。1日20分の読書で読めるページ数を実際に測り、それに残りの日数を掛ければ上限が出ます。目安としては低学年で40〜80ページ、中学年で100〜150ページ、高学年で150〜200ページ程度ですが、読む速さの個人差が大きいので実測が確実です。

Q. 課題図書と自由読書、どちらが有利ですか?

A. 有利・不利はありません。コンクールは課題読書と自由読書の両方を受け付けています。選ぶ段階で止まってしまうなら課題図書、読みたい本がはっきりしているなら自由読書、という基準で決めるのが現実的です。

Q. 子どもが本を読みたがりません。

A. まず分量を疑ってください。読み切れない経験が続くと、本そのものを避けるようになります。1話が短い本や薄い読み物に切り替えて「読み切れた」という結果を作るのが先です。そのうえで、興味のあるジャンル(なぞ解き、動物、宇宙、乗り物など)から選ばせると動き出しやすくなります。

Q. 親はどこまで手伝っていいですか?

A. 質問して考えを引き出すこと、話した内容をメモして順番を整える手伝いをすることまでです。感想そのものを親の言葉で与えると、お子さんの考えが文章から消えてしまいます。上で挙げた7つの質問を順番に投げるだけで、書く材料は十分に集まります。

Q. マンガや図鑑でもいいですか?

A. 学校やコンクールの指示によります。コンクールの課題図書には絵本もノンフィクションも含まれており、物語だけが対象というわけではありません。図鑑や科学読み物は「知らなかったこと」と「それによって考えがどう変わったか」を書けば感想文として成立します。ただし学校の宿題の場合は、指定の有無を先生に確認してください。

Q. 本は買うのと借りるのと、どちらがいいですか?

A. 候補が絞れていない段階では図書館で借りて試し、「これで書く」と決まった本だけを手元に置く、という使い分けが無駄になりません。感想文を書くあいだは本を何度も読み返すので、返却期限を気にせず付せんを貼れる自分の本があると進めやすくなります。夏休みは課題図書や定番の児童書に予約が集中するため、借りる前提なら早めに予約を入れておいてください。

参照した公式情報(取得日)

まとめ

小学生の読書感想文の本選びは、次の順番で進めれば迷いません。

  1. 学年から応募する部門と本文の字数を確認する(低学年は800字以内、中学年・高学年は1,200字以内)
  2. 字数から必要な本の条件を決める(低学年は場面が1つ、中学年以上は変化のある物語)
  3. 課題図書か自由読書かを決める
  4. 候補を手に取り、チェックシート7項目で判定する(特に最初の3ページを音読できるか)
  5. 読みながら付せんを貼り、読後に7つの質問で言葉を引き出す

本選びに迷って動けないときは、複数冊から選ばせるのが有効です。名作をまとめて手元に置くなら、小学生向けに読みやすく編まれたシリーズが入り口になります。

夏休みの読書そのものについては小学生の読書におすすめの本は?夏休みの選び方と人気シリーズでも紹介しています。無理なく読めて心が動く一冊が見つかれば、感想文は自然と書けるようになります。

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