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高校受験の内申点を上げる夏休みの過ごし方|3観点から逆算するやること
高校受験に向けて内申点を上げたいとき、夏休みに何をすればよいのか迷う中学生や保護者の方は多いはずです。先に結論をお伝えすると、夏休みは内申点そのものが動く期間ではなく、2学期の評価で点を取りにいくための準備期間です。
この記事では、内申点のもとになる評定がどのような観点で付けられるのかを文部科学省などの公式資料で確認したうえで、夏休みにできること・できないこと、2学期の定期テストから逆算した計画、提出物の仕上げ方、都道府県による違いを順に整理します。内申点の計算方法そのものは別記事で扱っているので、本記事は「上げるために夏に何をするか」に絞ります。
内申点は何で決まるか|評定のもとになる3つの観点
内申点は、調査書に記載される各教科の評定(5段階)をもとに点数化したものです。文部科学省の指導要録の記載事項では、評定は教科ごとの観点別学習状況の評価(A・B・Cの3段階)を基本的な要素として総括的に付けるものとされ、具体的な決め方は各学校が定めます。観点は、平成31年の文部科学省の通知で次の3つに整理されています。
| 観点 | 公式資料での考え方 | 評価の材料になる学習活動(公式資料の例示) |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 知識や技能を身に付けているか | ペーパーテスト(事実的な知識の習得を問う問題と、知識の概念的な理解を問う問題)、文章による説明、観察・実験、式やグラフでの表現など |
| 思考・判断・表現 | 知識や技能を使って考え、判断し、表現できるか | ペーパーテストのほか、論述やレポートの作成、発表、話合い、作品の制作や表現など |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているか | ノートやレポート等における記述、授業中の発言、教師による行動観察、自己評価や相互評価など |
つまり定期テストは主に前の2つの観点、提出物やノートは主に3つ目の観点の材料になります。どの材料をどの程度重く見るかは学校や教科ごとに異なるため、詳しくは学期初めに配られる評価の説明や、教科担当の先生の話で確認するのが確実です。
挙手の回数やノートの有無で態度が決まるわけではない
国立教育政策研究所のハンドブックは、「主体的に学習に取り組む態度」について、挙手の回数や毎時間ノートを取っているかなど、性格や行動面の傾向が一時的に表に出た場面を捉える評価であるかのような誤解が残っていると指摘しています。見られるのは、知識や考える力を身に付けるために粘り強く取り組んでいるか、その中で自分の学習を調整しようとしているか、という2つの側面です。
ですから、内申点を上げるために発言の回数だけを増やしたり、見た目のきれいなノートづくりに時間をかけたりするのは遠回りです。夏休みにやることも、この2つの側面を意識して選ぶと無駄がありません。
夏休み中に評定は動かない
夏休みには授業も定期テストもないため、評価の材料そのものが生まれません。たとえば東京都の令和9年度入試の実施要綱は、中学3年の評価・評定を付ける際に第3学年の第一学期及び第二学期の成績を十分参考とすると定めています(二学期制の学校は前期の成績と後期の12月31日までの学習状況)。東京都の場合、夏休み明けの学習が中3の評定に直接かかわってくるということです。
この中3の夏をどう使い始めるかは、高校受験の夏休みは何から始める?後悔しない学習計画の立て方で詳しく解説しています。
夏休みにできること・できないこと
内申点に関して、夏休みに「できること」と「できないこと」を分けておくと、計画の焦点が定まります。
| 夏休みにできないこと | 夏休みにできること |
|---|---|
| 1学期の評定を変える | 1学期の定期テストを解き直し、失点の原因をつぶす |
| 2学期の授業での発言や行動観察の評価を先取りする | 2学期に習う単元の前提になる内容を復習しておく |
| 先生に評価を直接お願いする | 夏の宿題を期限内に、間違い直しまで含めて仕上げる |
| 実技教科の実技そのものの評価を受ける | 実技4教科の1学期のプリント・ワークを見直し、2学期の単元の準備をする |
右の列は、どれも2学期の評価の材料を良くする行動です。夏休みの成果は、2学期の定期テストと提出物、そして授業への取り組みに表れます。
2学期の定期テストから逆算する夏休みの計画
2学期の最初の定期テストは、夏休みの準備の成果が最初に表れる場です。夏休みの計画は、そこから逆算して3つの期間に分けると立てやすくなります。
| 期間 | 主にやること | つながる観点 |
|---|---|---|
| 夏休み前半 | 1学期の定期テストの解き直し・夏の宿題を進める | 知識・技能/主体的に学習に取り組む態度 |
| 夏休み後半 | 中1・中2の積み上げ教科の総復習・2学期の単元の準備 | 知識・技能/思考・判断・表現 |
| 夏休み明けから定期テストまで | 2学期の授業内容をその日のうちに復習・提出物を期限内に | 3観点すべて |
1学期の定期テストの解き直しを最初にやる
最初に手を付けたいのは、1学期の定期テストの答案です。間違えた問題を、答えを見ずにもう一度解き、それでも解けない問題は教科書やワークの該当ページに戻ります。特に数学と英語は、前の単元が分からないと次の単元が理解しにくい積み上げ型の教科なので、ここでの穴は2学期のテストに直接響きます。
どこでつまずいているのか自分でも分からないときは、中1・中2の範囲を要点に絞っておさらいできる総復習ドリルで、弱点を洗い出すのが効率的です。
中1・中2の総復習は積み上げ教科から
夏休みはまとまった時間が取れる貴重な期間です。英語も単語や文法の抜けを放っておくと、2学期の長文や英作文でつまずく原因になります。1・2年の範囲を一冊で見直せる教材を使い、分厚い問題集を何冊も抱えるより、薄い一冊を最後までやり切ることを優先しましょう。
学年ごとにどこまで戻ればよいかの見極め方は、中2の夏休みの苦手克服勉強法|戻る学年の見極めと教科別の戻り先が参考になります。問題集を選び直したい場合は、高校受験の問題集おすすめの選び方|教科別・レベル別・時期別のそろえ方もあわせてご覧ください。
実技4教科は「次の単元の準備」と「提出物」で備える
音楽・美術・保健体育・技術・家庭の実技4教科にも、5教科と同じように評定が付きます。都道府県によっては比重が大きくなる場合もあり、たとえば東京都の一般入試では、学力検査を実施しない教科は評定数値を2倍して調査書点を算出すると定められています。
実技の評価そのものは夏休みには受けられませんが、1学期に配られたプリントやワークシートを見直して記入漏れを確認する、2学期に扱う単元を教科書で読んでおく、といった準備はできます。筆記のテストがある教科は、5教科と同じように1学期の答案の解き直しも計画に入れておきましょう。
1日の分量を先に決めて続ける
計画が崩れやすい原因の一つは、その日にやる量が決まっていないことです。教科ごとに1日のページ数を先に決め、カレンダーに割り振っておくと、休み明けに手つかずのページが残る事態を防げます。時間を区切って取り組むと集中が続きやすいので、残り時間が目で見て分かる学習用のタイマーを使うのも一つの方法です。
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提出物・ノートで「主体的に学習に取り組む態度」を示す
提出物は期限を守ることが前提ですが、公式資料が挙げる評価の側面は「粘り強く取り組んでいるか」と「自らの学習を調整しようとしているか」の2つです。提出物でこの2つが伝わるように仕上げることが、3つ目の観点への近道になります。
夏の宿題で今日からできる3つの工夫
- 間違い直しを残す: 解き直した問題は、なぜ間違えたのかを一言添えて残します。粘り強く取り組んだ跡がそのまま見える形になります
- 振り返りを書く: ワークの区切りごとに、できるようになったこと・まだ不安なことと、次にどう取り組むかを短く書きます。自分の学習を調整しようとしている様子が伝わります
- 質問を準備する: 夏のうちに解決できなかった問題に印を付けておき、2学期の最初の授業や休み時間に先生へ質問します。授業中の発言や行動観察の材料にもつながります
2学期の授業では「分かる状態」で参加する
夏に基礎を固めておくと、2学期の授業の内容が分かりやすくなり、発言や話合いにも自然に加わりやすくなります。公式資料も、発表や話合いを「思考・判断・表現」の評価の材料として例示しています。発言の回数を増やすことを目標にするより、授業の内容が分かる状態をつくることを夏の目標にするほうが、結果として評価につながりやすいといえます。
都道府県で違う内申の対象学年と比重
どの学年の評定が内申点に使われるか、どれくらい重く扱われるかは都道府県によって異なります。公式資料で確認できた東京都と神奈川県の公立高校一般入試(令和9年度)の扱いは次のとおりです。
| 都県 | 内申に使われる学年 | 公式資料での主な扱い |
|---|---|---|
| 東京都 | 中学3年 | 学力検査の得点と調査書点の比率は全日制で原則 7:3。学力検査を実施しない教科の評定は2倍 |
| 神奈川県 | 中学2年・中学3年 | 中学2年の9教科の評定の合計に、中学3年の9教科の評定の合計を2倍して加える。第2次選考では中学3年の主体的に学習に取り組む態度の評価(A・B・C)を点数化して使う |
神奈川県では、中学3年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価が、評定とは別に選考の資料として使われる点が特徴です。夏の宿題の仕上げ方や2学期の授業への取り組みが、評定を通じても、観点別評価そのものとしても関わってくることになります。
評定が点数になるまでの具体的な計算や、ほかの府県の換算方法は内申点の計算方法|評定から点数になる流れと都道府県別の換算表で解説しています。入試日程や選抜方法の全体像は、東京都の都立高校入試2027年度|令和9年度の日程と選抜方法と神奈川県の公立高校入試はいつ?2027年度(令和9年度)入試の日程と当日までの流れをご覧ください。そのほかの地域にお住まいの場合は、各教育委員会が公表する入学者選抜の要綱・要項で確認してください。
通知表の観点別評価から夏の優先順位を決める
1学期の通知表に教科ごとの観点別評価(A・B・C)が記載されている場合は、その並びを見ると、夏休みに何を優先すべきかを教科ごとに決められます。
| 1学期の観点別評価の傾向 | 夏休みに優先すること | 2学期に意識すること |
|---|---|---|
| 知識・技能が B や C | 1学期の定期テストの基本問題の解き直し・総復習ドリル | 授業の当日中に復習し、小テストで確認する |
| 思考・判断・表現が B や C | 応用問題・記述問題の解き直しで、解き方を言葉で説明する練習 | 記述問題で途中の考えを書き切る |
| 主体的に学習に取り組む態度が B や C | 夏の宿題を期限内に、間違い直しと振り返りまで含めて仕上げる | 提出物の期限を守り、分からない点を先生に質問する |
| 3観点とも A が多い | 2学期に習う単元の準備・受験に向けた総復習 | 現在の取り組みを崩さない |
複数の教科で同じ観点が弱い場合は、その観点に効く行動を全教科で共通のやり方にすると、計画がシンプルになります。
筆者の判断基準
公式資料と各都県の要綱を読んだうえで、夏休みの内申点対策の優先順位は次のように考えています。
- 最初に1学期の答案と通知表を見る: 弱い観点と単元が分かれば、夏にやることは自然に絞られます。新しい教材を買うのは、そのあとで十分です
- 定期テストの準備と提出物の仕上げを同じ重さで扱う: テストは主に知識・技能と思考・判断・表現、提出物は主体的に学習に取り組む態度の材料です。片方だけでは3観点がそろいません
- 見せ方だけの工夫はしない: 発言の回数稼ぎや装飾に時間をかけたノートは、公式資料が示す評価の考え方と合いません。間違い直しや振り返りのように、学習そのものが良くなる工夫に時間を使います
なお、塾に通うかどうかで迷っている場合は、高校受験は塾なしで大丈夫?塾の4つの役割を家庭で補う進め方と判断基準で判断の目安を整理しています。
よくある質問
夏休みの宿題を完璧に仕上げれば内申点は上がりますか?
宿題の提出は評価の材料の一つですが、それだけで評定が決まるわけではありません。評定は3つの観点を総括して付けられるため、2学期の定期テストや授業での取り組みもあわせて見られます。宿題は期限内に、間違い直しと振り返りまで含めて仕上げ、2学期のテスト準備にもつなげるのが効果的です。
中3の夏からでも内申点は間に合いますか?
都道府県によって対象学年が異なるため一概にはいえませんが、たとえば東京都は中学3年の評定を使い、第一学期と第二学期の成績を十分参考にすると定めています。神奈川県も中学3年の評定を2倍にして扱います。少なくとも東京都と神奈川県では中3の評定が使われるため、夏休みの準備には意味があります。
実技4教科は夏休みに何をすればいいですか?
実技そのものの評価は夏休み中には受けられないため、1学期のプリントやワークシートの記入漏れを確認し、2学期に扱う単元を教科書で読んでおくのが現実的です。筆記のテストがある教科は、5教科と同じように1学期の答案を解き直しておきましょう。
まとめ|夏休みは2学期の評価に向けた準備期間
高校受験の内申点を上げるために夏休みにやることは、次の3つに整理できます。
- 1学期の答案と通知表から弱い観点・単元を見つけ、解き直しと総復習で埋める
- 夏の宿題を期限内に、間違い直しと振り返りまで含めて仕上げる
- 2学期の定期テストから逆算して1日の分量を決め、実技4教科も含めて準備する
夏休みそのもので内申点が動くわけではありませんが、2学期の定期テストと提出物、授業への取り組みはこの期間の準備で変わります。まずは1学期の答案を机に出すところから始めてみてください。
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